【論説】越前町血ケ平にある越前岬灯台が今年3月、初点灯から80年になる。「海の道しるべ」として沖合を航行する船の安全を見守り続けてきた。灯台は近年、観光資源としての価値が評価され、活用も検討されている。越前岬灯台は今月11日に「水仙まつり」に合わせて一般公開される。この機会に、灯台の新たな価値について考えてみたい。

 越前岬灯台は主要な航路標識の一つで、県内では最も大きい。地上から頂部まで16・27メートル、海面から灯火まで131・46メートルある。鉄筋コンクリート造り。15秒ごとに光り、約39キロ先まで光が届く。

 1940年3月29日に初点灯し、耐震対策のため2008年に20メートル北東の現在地に移転建て替えられ、現在は2代目だ。灯器などの設備があり、敦賀海上保安部が管理している。

 灯台は全国に約3100基、県内には39基ある。50年代以降、戦争で破壊された灯台の再建や港湾拡大などのため急速に建設が進んだ。しかし80年代以降になると、GPS(衛星利用測位システム)の普及などもあって新設は激減した。

 こうした中、航路標識という本来の役割以外にも、近年は観光資源や文化財として灯台の存在が注目されている。

 海上保安庁は昨年、灯台を活用した地域活性化の取り組みを支援するための有識者懇談会を立ち上げた。その中間報告で、灯台活用を広げるには、情報発信の強化と地域の関係者との連携が必要だとしている。

 具体策として、灯台が持つ歴史的価値や関連イベント・周辺の観光施設などの情報発信、提供している「電子版灯台カード」の充実などを挙げている。地域連携としては、関係者による協議会の結成や一般公開の促進、夜間見学や音楽会開催など親しみを持てる新たな活用を提案している。

 現在、ふだん見学できる灯台は全国に16カ所あるが県内にはない。越前岬灯台は11月1日の「灯台記念日」にちなみ、例年その前後に敦賀海上保安部が一般公開している。また、親子対象のイベントと水仙まつりに合わせても公開。デッキに登り、最上部の灯室を見学できる。

 灯台周辺は越前岬水仙ランドの水仙畑が広がり、日本海を望む絶好の観光スポットとなっている。一般社団法人日本ロマンチスト協会(本部・長崎県雲仙市)などが認定する「恋する灯台」に県内では立石岬灯台(敦賀市)とともに選ばれ、「黄昏(たそがれ)時の明かりに際立つ奇岩たちの形状と橙色(だいだいいろ)に染まる空と海とのコントラストは、他にはない美しさ」と評された。その魅力を広く発信し、貴重な観光資源として地域活性化に生かしたい。

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