2020年1月いっぱいで閉店するじっぷじっぷ種池店=2019年12月23日、福井県福井市種池2丁目

 「町の本屋さん」が福井県内から次々と姿を消している。福井市内のともに老舗の安部書店と「じっぷじっぷ」が、そろって今月閉店する。活字離れに加え、電子書籍やスマートフォンの普及、後継者不足など書店を取り巻く環境は厳しく、業界組合の組合員数は約40年前に比べ、4分の1に減っている。

 ■外商に専念

 「ここ数年、売り上げが落ち込み、今後も好転する見込みはない」と話すのは安部書店の安部悟社長(75)。2000年に開店したエルパ店の営業を、1月13日をもって終了することにした。同社唯一となる店舗で、今後は事業所や個人宅への配達など外商に専念するという。

 エルパ店は採算割れはしていないが、エルパが今春行うリニューアルに伴い安部書店も店舗改装が必要になり、設備投資に見合った回収は難しいと判断した。常連客からは閉店を惜しむ声が多く寄せられ、安部社長は「本との縁が切れる人がいるかと思うと申し訳ない」と肩を落とす。

 県書店商業組合が法人化した1983年の組合員数は120あったが、現在は33。帝国データバンク福井支店によると、2018年度の県内の書籍・雑誌小売り19社の総売上高は約90億円で、10年度に比べて約27億円減少した。

 同組合の理事長を務める安部社長は、県教委の調査で1カ月に1冊も本を読まない県内高校生が約4割いることに触れ「昔は電車やバスに乗れば文庫を広げている学生が多くいたが…。本に親しむ子どもがめっきり減ってしまった」と嘆く。

 ■粗利30%に

 じっぷじっぷは1月31日に種池店(福井市種池2丁目)を閉じ、35年の歴史に幕を下ろす。今後は自宅を兼ねている文京店(同市文京2丁目)のみの営業となる。清水祥三社長(70)は「売り上げが下降線をたどる中、社員やアルバイトの人件費負担が厳しくて…。今後は収支はトントンだが、夫婦2人で好きな本屋を続けたい」と言う。

 県書店商業組合の副理事長を務める清水社長は「昔は本屋は情報を発信する『ワンダーランド』だった。その地位がスマホに取って代わられた」と指摘。インターネット書店のアマゾンの浸透、出版社によるネット配信などの影響も大きいという。

 出版流通の仕組みは、出版社を起点に取次(卸)業者に流れ、書店に届く。同組合によると、粗利の内訳は一般的に出版社70%、取り次ぎ8%、書店22%程度。同組合などは書店の粗利30%実現を求めており、県内のある書店主は「もうけられなくていい。せめて商売を続けられるだけのマージンが欲しい」と訴える。

 ■選ぶ楽しさ

 従来型の書店が姿を消す一方で、複合型店舗が登場している。ヤスサキ(福井市)は11月、ワイプラザ新保に「ツタヤ・ブックストア」とタリーズコーヒーの一体型店舗をオープン。敦賀市がJR敦賀駅西側で進めるにぎわい拠点整備では、大手書店の丸善雄松堂(東京)が指定管理者となり、カフェ付き書店が22年4月に開店予定だ。

 明確な個性を打ち出した書店も現れている。福井市の新栄商店街に昨年春開店した「わおん書房」は、ギャラリーのような空間にアート本や児童書などこだわりの一冊が並ぶ。これまでに会計士のトークイベントや、国内外の美術展の図録を並べる「図録カフェ」が開かれている。

 創業以来、子ども向け絵本などの品ぞろえに力を入れ、朗読会を定期的に開いてきた、じっぷじっぷの清水社長は「分野を絞って専門店化していくことは生き残りの一つの鍵」と強調。そして、こう訴える。「本屋に出向いて本を手に取り、自分の目で選ぶ面白さに気付いてほしい」

関連記事