福井県高浜町の元助役森山栄治氏(同町提供)

 関西電力役員らの金品受領問題で福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)が1996年、関電側が発注予定の原発関連施設の工事について当時の関電幹部を執拗にどう喝し、情報提供を迫る電話を録音した音声が残っていたことが1月6日、分かった。共同通信が幹部の業務日誌とともに入手。「おまえのとこへ問題点持ってったるぞ」と業務を妨害するような発言もあり、日誌には4日後、森山氏と面談し情報を提供したと記されていた。

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 関電側は30年以上、森山氏に特別待遇を続けてきたとされるが、癒着を裏付ける肉声が明らかになるのは初めて。第三者委員会(委員長・但木敬一元検事総長)の再調査にも影響しそうだ。

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 該当工事は福井県美浜町で96年9月に建設が始まり翌年11月に完成した「原子力安全システム研究所(INSS)」の新研究所。京都府精華町からの移転に伴う工事で、最終的にゼネコンの熊谷組(東京)が受注した。

 業務日誌の記載から96年7月4日の電話とみられる約20分の音声で、森山氏は工事情報がもたらされない状況にいら立ち、幹部に対し「おまえらにこら、どこまで頭下げていかなんじゃ!(頭を下げなければならないのか)」と怒鳴りつけている。

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 当時の副社長には既に話を通していると受け取れる発言をし、会長や社長経験者も呼び捨てに。「納得のいく回答を客観的にしてみい。けれども君の主観だけであれしてったら、事が収まらんいうことだけは知っとれよ」と、対応を迫った。

 「いつ言うてくんねん、言うてみい」と具体的な日時を問い、幹部は弱り切った声で「もし先生(が)よろしければ」と翌週月曜日に訪問すると約束した。日誌によると、幹部は部長クラスと打ち合わせをし4日後に当たる月曜日の7月8日、森山氏の元を訪れ面談。INSS新研究所の業者選定は本店の「資材部」が担当し工程は遅れていることなどを説明した。

 その後、7月19日とみられる音声では幹部が電話をかけると「あーどうも」と打って変わって上機嫌に。幹部が森山氏の要望を受け、社内でやりとりしたと報告すると「うわー、わざわざそんなもう」と持ち上げた。工事が指名競争入札になる見通しだと伝えると「はいはいはい」と丁寧な口調で応じた。

 森山氏は1969年に高浜町職員になり、77~87年に助役を務めた。複数企業で顧問などに就き、昨年3月に亡くなった。

⇒森山元助役の音声を聞く

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