【越山若水】「なんだこれは」と縄文土器を目にした岡本太郎さんがそこに美を発見したのが70年ほど前。今では縄文文化は日本文化の基礎といわれ各地で展覧会も開かれている▼「北海道・北東北の縄文遺跡群」について政府は2021年の世界文化遺産登録を目指しユネスコに推薦することを決めた。遺跡群は大規模集落跡「三内丸山遺跡」(青森市)や大小の石を同心円状に配した「大湯環状列石」(秋田県鹿角市)など17遺跡で構成。農耕以前の生活や精神文化を示す物証とされる▼縄文遺跡といえば、福井県にも漆製品や丸木舟の出土で注目された鳥浜貝塚(若狭町)がある。出土品や丸木舟の復元から木を自在に扱った縄文人の豊かな知識と高度な技が分かり、現代人を驚かせた。岡本さんは生前、復元後、三方湖に浮かべた丸木舟に乗船した▼いま地球環境問題を考える上で、あらためて縄文文化が注目されている。現代人は森林を伐採し、海をプラスチックごみで汚してきた。一方、土偶などの遺物や遺跡から浮かび上がる縄文人は、自然と共生し、死者は「再生」するという循環型の世界観を育んでいた▼若狭三方縄文博物館の初代館長を務めた故梅原猛さんは「地球を破壊しつつある現代文明へのメッセージとして縄文の光を世界へ届けたい」と述べていた。世界遺産の登録は人類を救う処方箋の提示になるかもしれない。

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