北海道札幌市からIターンし、えちぜん鉄道のアテンダントとして奮闘する伊藤由貴子さん

 北海道札幌市出身の女性が福井県にIターンし、えちぜん鉄道のアテンダントとして奮闘している。JR北海道で客室乗務員をしていたが、業務終了で配置転換となったのを機に「憧れの地だった」という福井県に移り住んだ。えち鉄に入社して元日でちょうど半年。「福井県は人が温かく居心地も最高」。第二の古里で輝いている。

 伊藤由貴子さん(28)は20歳の春に上京。美容師を1年3カ月務めた後、古里に戻った。22歳の春にJR北海道に入社し、特急の客室乗務員として弁当などを販売してきた。しかし車内サービスの利用減で昨年2月末に業務終了。系列ホテルの美容師に配置転換されることになった。

 3月下旬。4月から新たな職場に配属されるのを前に、福井県を一人旅した。「北海道より海や山、自然が近くにあって良いなあって、以前ガイドブックで見てからずっと憧れていた」からだ。

 えち鉄に乗って勝山市の県立恐竜博物館や坂井市の東尋坊に向かった。アテンダントと乗客が福井弁でさりげなく交わす会話が新鮮だった。「私が車内でお客さんと接していた時は、世間話をすることはなかった。えち鉄はなんて温かいんだろう」

 終点の三国港駅で将来を決める出来事があった。出口を探していたら肩をたたかれ、振り向くと運転士が笑顔で立っていた。そしてアテンダントが優しく案内してくれた。「えち鉄で働きたい」。そう心に決め、札幌市に戻って新しい職場の仲間に福井県への移住と転職の意思を伝えた。

 4月下旬にえち鉄へ履歴書を送り、5月中旬に面接試験を受験した。合格の連絡を受け、6月下旬に福井市内へ引っ越し。7月1日に入社し、営業開発部アテンダントグループに配属された。

 えち鉄のアテンダントはJR北海道時代と同じ客室乗務員だが、仕事の中身は違う。切符販売や体の不自由な人たちの乗降補助、案内放送などのきめ細かなサービスと、乗客の目線に立ったおもてなしの心を現場で先輩に教えてもらった。なじみのなかった沿線の駅名も懸命に覚えた。努力が実り、8月19日からは一人で業務に当たっている。

 顔見知りの乗客もできた。最近「寒くなってきたで体に気を付けるんやざ」と声を掛けられ、「私も福井県民の仲間入りができた」とうれしくなった。それでも「まだまだ」と気を引き締める。「先輩たちのように、一日も早くお客さまに信頼されるアテンダントになりたい」。えち鉄に初めて乗った時の感動を胸に日々業務に励んでいる。

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