【越山若水】日本人は昔から縁起を担いできた。その最たるものが正月行事だろう。新年が良い年でありますようにと初詣に出かけ、彩り豊かでめでたい食べ物づくしのおせち料理に舌鼓を打つ▼どの家も玄関にしめ飾りをして年神様を迎える。いい初夢を見るため、枕の下に宝船を描いた絵を入れる。夢は徳川家康にあやかり「一富士二鷹(たか)三茄子(なすび)」が吉兆だといわれる。ほかにも商売繁盛を願う招き猫を飾ったり、合格や当選祈願のだるまを買い求めたりする▼ただこうした信心や習慣は日本独自ではなく、外国にだって同様の事例は多い。しかしながら日本人の縁起担ぎの傾向は傑出していることが、最近の脳科学研究で分かってきたという。日本神経学会専門医の柿木隆介さんが雑誌「てんとう虫」の1月号に書いている▼幸福ホルモンのセロトニンを調節するトランスポーター(運び屋)の遺伝子は、長さによってS型からL型まで3種類ある。S型は内向的で不安を感じやすく、L型は社交的で自主独立性が強い。アジア人はS型が多く、中でも日本人はその割合が世界一高いそうだ▼ゆえに「不安遺伝子」が優勢な日本人は、自分が成功した体験や古くからの縁起を尊重し、心を落ち着かせようとする。効果の程はさておき、気持ちはよく分かる。さて今年の大発会は週明け6日。証券関係者は相場上昇を願いうなぎを食べるとか。

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