【論説】2020年の日本経済は東京五輪・パラリンピックの波及効果を生かしつつ、消費税増税の影響を克服、持続的な成長を維持できるのかどうかが焦点となりそうだ。海外にはくすぶり続ける米中貿易摩擦などのリスク要因を抱え、予断を許さない。

 増税前の昨年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算1・8%増だった。しかし、10~12月期は消費税増税の反動減が一定程度見込まれ、台風19号被害の影響も想定されることからマイナス成長に転落したとみられる。

 増税1カ月後の11月に福井商工会議所が実施した調査で、売り上げが減少したと回答した県内事業者が4割を超えたことが裏付けていると読み解くべきだ。

 増税による需要減に備え導入したプレミア商品券やポイント還元策などが、いずれも今年6月末に期限切れとなる。このため消費低迷が長期化するのではとの懸念につながり、特に五輪後の景況に関心が集まりつつある。前回の1964年の東京五輪後に、民間投資の急減を引き金とし「昭和40年不況」に陥ったことも不安心理の一因となっている。

 だが、首都圏、大都市はもちろんだが、県都の福井市でも23年春の北陸新幹線開業に向けての工事は継続されており、受け皿の再開発事業をはじめ分譲マンションなどの建設に向け着々と準備が進んでいる。ただ腰折れのリスクには予断は持たず「五輪後」を注視していく姿勢は必要だろう。

 海外要因としては米中の貿易摩擦の推移にはなお目を離せない。米国では11月の大統領選が世界の注目を集めることになるが、トランプ氏にとっては10年を超す景気拡大、株高など好調な自国経済が強気の背景で、対する中国は今年の成長率が6%を割り込む可能性もあり減速に歯止めがかかっていない。

 昨年12月には貿易協議の「第1段階」の合意に達したとはいえ、不確実性は高い。本県経済では昨年来製造業に影響が目立ち、日銀福井事務所の昨年秋景況では7年ぶりに判断が下方修正されており、交渉の推移に左右される局面もありそうで要注意だ。

 こうした景況の下押し懸念をにらみ、政府が昨年12月に決定した経済対策が効果を発揮できるのかが焦点になろう。19年度補正と20年度当初の予算案を合わせた「15カ月予算」を編成。財政規律には疑問が残るが、切れ目のない対策で五輪後を見据えた点は評価できる。

 上場企業の20年3月期の純利益は2年連続での減益の見通し。だが前例のない金融緩和で株価、不動産価格の上昇を促したアベノミクスにより内部留保は積み上がる一方、恩恵にあずからず、ほぼ据え置かれている労働者への分配に留意。消費マインドの堅持に賃上げを求めたい。

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