【論説】「全ての未来世代の目はあなたたちに注がれている。私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない」。スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥンベリさんが9月にあった国連の気候行動サミットで発した言葉だ。地球温暖化だけでなく、政治や経済などさまざまな分野で、未来世代への配慮は欠かせないはずだが、2019年を振り返れば、逆行するような動きが目立った。

 ■筆頭は米大統領■

 筆頭はトランプ米大統領だろう。今年も世界が振り回された格好だ。温暖化防止のパリ協定やイラン核合意からの離脱に続き、今年8月には米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約を失効させるに至った。米国は失効するやいなや中距離ミサイルの発射実験を強行。ロシアも対抗していく構えを示した。

 トランプ氏は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と2月にハノイ、6月に板門店で会談したが、北朝鮮の非核化は遅々として進まないどころか、短距離ミサイルなどの発射を繰り返した。「年末まで」とした交渉期限を迎え、膠着(こうちゃく)状態にある。

 米中の貿易摩擦は世界経済を翻弄(ほんろう)。今月になって第1段階の合意に達したが、合意通りに進展するかは予断を許さない。米国と覇権争いの様相を呈している中国では、6月に香港で逃亡犯条例改正案に反対する若い世代を中心としたデモが起き、今なお収束する気配はない。理由は異なるものの、フランスやスペイン、インド、イランなど世界各地でデモが頻発し、犠牲者を出す事態に陥っている。

 ■「令和流」の一歩■

 日本国内はどうだろう。

 5月1日、新天皇陛下が即位され、平成から令和へと改元された。即位礼正殿の儀などに続き、パレードも行われ約11万9千人が詰めかけた。天皇、皇后両陛下は先日、台風の被災地を訪問され、国民に寄りそう「令和流」の一歩を踏み出された。

 今年は改元や即位に対する祝意にあふれた。一方で安倍晋三政権が参院選を控え政治利用したとの指摘もあった。先細りする皇室をどうするのか、政府は議論を先送りしたままだ。

 台風や大雨による被害が今年も相次いだ。温暖化の影響と断じられているが、政府は温室効果ガスの削減には及び腰。石炭火力発電を今後も活用するとし、不名誉な「化石賞」を2度も贈られるはめとなった。

 財政再建にも後ろ向きだ。予算案は2年連続で100兆円を超え、政府が目標とする25年の黒字化は見通せなくなった。消費税増税で税収は過去最高になる見込みだが、歳出を膨らませ続けている。国と地方の長期債務残高は19年度末に1122兆円に達するという。未来世代へのつけ回しが目に余る。

 ■新知事が新風■

 福井県内では4月の知事選で杉本達治氏が現職を下し初当選。「徹底現場主義」を掲げ、県政に新風を吹き込んでいる。ただ、関西電力の幹部が高浜町の元助役から金品を受領していた問題では、県の現職やOBらも受け取っていたことが明らかになった。調査を含め県民に不信感を抱かせる結果となった。

 県内では目立った自然災害はなかったが、奥越を中心にクマの出没が続出し、計9人がけがをした。生態系の変化がもたらしたものなのか、来年以降も注意が必要だろう。介護者による家族の殺傷事件も相次いだ。超高齢社会を迎える中、現役、未来世代も安心して暮らせる県づくりが求められる。

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