【越山若水】「丸い卵も切りようで四角、物は言いようで角が立つ」。よく知られた慣用句である。今年1年を振り返ってみると、この教訓を肝に銘じてほしいと思う人がなんと多かったことか▼スウェーデンの高校生、グレタ・トゥンベリさんをめぐる一件。地球温暖化対策に消極的な政治家を彼女が非難し、米タイム誌の「今年の人」に選ばれたとき。トランプ米大統領は「ばかげている。グレタは自分の怒りを制御することに取り組むべきだ」とツイート▼またアマゾンの熱帯雨林開発をやめないブラジルのボルソナロ大統領。「あんな小娘のことをメディアが取り上げるなんて」と毒づいた。どちらも言いたい放題が売り物だけにさもありなんと思う。ただしその真意は「痛いところを突かれたから」と見る向きもある▼一方、国内でも耳を疑う差別発言が政治家から飛び出した。「あほみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう」。NHKから国民を守る党、立花孝志党首の不道徳極まる暴言は、はなから非難の嵐を見越しネット世代の注目を集める「炎上商法」とみられる▼いずれにしろ彼らは、侮蔑的な表現を意図的に使っているフシがある。われこそ度胸のある人間であり、他人よりも優位な存在だと誇示してみせる。丸い卵をわざと四角に切ってみせる言動に、過剰反応すること自体、彼らの思うつぼかもしれない。

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