全国流通では初のオリジナル作。エア・ギターならぬエアー・バンドの4人組。イロモノと思われがちだが、実に緻密なアルバムで、様々な楽曲に翻弄されるのが心地よい。
大きく分けてパターンは2つ。1つは、デタラメな中国語風に歌った『成龍很酷』や、自閉症気味の青年の苦悩を乗せたデスメタル調の『デスメンタル』のように、なんとなくその系統の音楽に聞こえるもの。そして2つ目は、フリーター男性の虚栄を描いた『酔わせてモヒート』や、悩める中学生の湧き起こる感情を表した『僕クエスト』のように、昭和歌謡並みにストーリー性の高いもの。
シリアルにもコミカルにも出来るのは、全面に携わる鬼龍院翔の歌力によるところが大きい。しかも『今夜も眠れない』のように、パラパラ、ロック、オペラなど、曲中で何度も激変するものも多く、舌を巻く。本作を聴き込めば、物事の発想がやけに柔軟になるはず。
(ユークリッド・ミュージックエンターテイメント・2480円)=つのはず誠