福井県の総合ニュースサイト


全国の速報

全国のニュース

「DVD=3」 ピエール・バルー『サラヴァ 時空を越えた散歩、または出逢い ピエール・バルーとブラジル音楽1969〜2003〜』 字幕が少ないという豊かさ  

(2017年4月19日午前11時44分)

 ピエール・バルー『サラヴァ 時空を越えた散歩、または出逢い ピエール・バルーとブラジル音楽1969〜2003〜』  ピエール・バルー『サラヴァ 時空を越えた散歩、または出逢い ピエール・バルーとブラジル音楽1969〜2003〜』


 すごい作品に出会ってしまった。いや、むしろなぜ、今まで出会わなかったのだろう?

 2016年12月、惜しまれつつこの世を去ったピエール・バルーの追悼発売として、日本3度目のリリースとなった本作。1969年、わずか3日の間でブラジルの伝説的ミュージシャンたちの演奏をとらえた「奇跡の」映像に端を発し、2003年の東京、そして1990年代のブラジルへと「時空を越えた」旅をしながらブラジル音楽の深層に触れていくドキュメンタリー映画だ。

 ピエールという一人の異邦人の目に映るブラジルの姿、ブラジル音楽の姿(そしてアフリカの残像)。映像からは彼が心震わせ出逢いの奇跡を味わっていることがそのまま伝わってくるし、いつしか観ている私自身も彼の隣にいて、同じカフェのテーブルについているような気持ちになるのは、この映画にかけられた魔法というほかない。

 とにかく、流れてくる音楽はどれも最高に素晴らしい。加えて、その音楽を奏でる人々の人生や、この音楽を育んだブラジルという国の姿までをまるごと写し出しているように思う(きっと、そうにちがいない)。

 心憎いのが、日本版である本作の字幕の少なさだ。かろうじて、会話をたどれる程度にしか字幕が出ないことで、言葉の通じない異国の地を訪ねたときのあの、心もとないような、でもだからこそ目の前の世界に感覚を研ぎ澄ます、独特の感覚がよみがえってくる。「私の願いは、あなたを私たちと共に旅に連れていくことです」。ピエールは冒頭でそう語っているが、まさに、まさに、その通りの作品だ。彼の偉大な才能に感謝しつつ、冥福を心から祈りたい。

(コロムビア・マーケティング・2800円+税)=玉木美企子

関連記事

powered by weblio


福井のジャンル

福井新聞ご購読のお申し込み D刊お申し込み

ニュースランキング

弔電サービス「わたっくす」

ぷりん

福井新聞文化センター 風の森倶楽部


[ スマホ版はこちら ]

〒910-8552 福井県福井市大和田2丁目801番地

TEL:0776-57-5111

本ページに掲載の記事・写真などの一切の無断掲載を禁じます。