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『せいのめざめ』益田ミリ、武田砂鉄著 戻れない日々の成長痛  

(2017年2月17日午後1時17分)

   


 自分的「会ったら秒速で打ち解けられる(と勝手に思っている)文化人」、益田ミリと武田砂鉄によるエッセー集。テーマは十代の性の目覚め。「目覚め」なだけあって、何の知識も実体験もない、代わりに妄想と見栄と誤った情報がギッチギチに詰めこまれていた、間違いだらけのあの頃を描いたエッセーだ。

 赤ちゃんはキスでできると思っている女子。アイドルの写真を斜めにして上から覗き込むとおっぱいが大きくなって、なんなら「中まで見える」ような気がする男子。男性器は、文字通り金色の玉がさくらんぼのように揺れていると思っている女子。AVを観ながら「あり得ねーよな」と言いながら、「では現実ではどういう感じ?」と問われたら一切答えられない男子。経験がないにもかかわらず「この女の人演技だね」「うん」と言い合う女子……。

 ニヤニヤと笑いながら読んでいたはずなのに、ページをめくりながらなんともせつない気持ちになってくる。男の子と付き合ったり結婚したりなんて、想像もできなかったあの頃。想像できないくせに、そして果たしてそれがどんなにいいことかそうでもないのかもよく分からないくせに、なんでか「彼氏ほしー」と口癖のように言っていたあの頃。口にしてるくせにいざ自分の目の前に立ちはだかると足がすくんで、でも足がすくんでるのに知りたかったあの頃。自分の中で起きていることが何なのかわからない、けれどこのままではいられないことはわかる。このままでいることを自分の中の衝動が許してくれない。

 そんな、忘れていたあの頃の成長痛を思い出させてくれる一冊だ。もう戻れない日々はいつだって眩しくて、なんだか直視できない。(河出書房新社 1300円+税)=アリー・マントワネット

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