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嶺南で「教育旅行」拡大 深化させたい“濃い交流”
(2010年7月9日午前7時13分)
農山漁村における自然学習や農漁業を体験する教育旅行の受け入れ先が嶺南地域で増えてきた。先進地として知られる若狭町に続き美浜町、小浜市も実績を重ね、おおい、高浜町も来年の受け入れが決まった。春季に比べ少なかった秋季を選択する学校もあり、教育旅行、宿泊体験研修地として国内外から注目を集める地域となりつつある。
若狭三方五湖観光協会、若狭美浜はあとふる体験推進協議会の意欲的な取り組みを知り、体験型観光を推進する韓国漁村漁港協会の漁師ら16人が6月末、体験プログラムを学びに来た。豊富な体験メニュー、観光協会や推進協議会と行政の密接な連携に驚いた様子だった。
若狭町の取り組みは20年前にさかのぼる。海浜観察はもとより漁業、料理体験が都会の子どもたちの人気を集め、岐阜県を中心に中京から継続して年間5千人前後を誘致している。トラブルの未然防止のため1集落1学校を原則に、船釣りや蓄養魚への餌やりなど職業体験プログラムの工夫も功を奏し、地域ぐるみの協力が学校側の信頼を厚くしている。
少人数での民泊という独自のシステムで受け入れを急速に伸ばしている、美浜町のはあとふる体験推進協は2005年から始動した。民宿も会員だが、農家や漁師など民泊が87軒と多いのが特長。ボート漕ぎも美浜の魅力の一つだが、田植えや野菜収穫、干物づくりなど農山漁村のありのままの暮らし体験が貴重な学習として高い評価を得ている。
会員は独居老人宅や3世代同居家庭とさまざまで、生徒は1軒4人に制限。都会から親類の子どもが遊びにきた感覚を大切に、心の交流を主題とする。夕食で3時間以上も話が弾むこともあるという。生徒のみならず学校、保護者から精神面の変化にお礼の言葉も多い。両町とも都会ではまれとなった家族以外の大人とのふれあい密度の濃さが研修地に選ばれる大きな理由になっている。
新学習指導要領で02年から小中校、03年から高校で「総合的な学習の時間」が実施され、修学旅行も形態が変化した。宿泊研修、体験活動の中から素材を選択することが多く、全国的に誘致を推進する地域が増えた。
教育旅行は5、6月に集中する。日程が重なり、やむなく他県へ変更する学校もあるなか、嶺南の市町が連携すれば、これを防ぐことができるだろう。教育旅行は誘致活動から成約までに短くとも3、4年かかり、一度の不評で中止となるのが常だ。互いにライバルには違いないが、隣接市町で研修し合いプログラムの均質化や連携を図れば教育旅行先としての厚みがより増すだろう。
長年培った巧みな農漁業作業に驚く生徒の表情に、受け入れ側のお年寄りも自信を持ち、指導やもてなしに懸命という。経済的効果もあるが、それ以上に生きがいづくり、地域活性に好影響を生んでいる。来秋に初誘致が決まった関東からの増加も期待が持てる。他県がまねできない心のふれあいを深化させ、教育旅行受け入れを通じ、地域連携の輪をさらに広げたい。