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2009年8月18日(火曜日)

敦賀気比、甲子園初戦飾れず 帝京に1−5

 第91回全国高校野球選手権大会第7日は16日、甲子園球場で2回戦を行い、本県代表で11年ぶり5度目出場の敦賀気比は、帝京に1―5で敗れ、ベスト8入りした1997年以来の初戦突破はならなかった。気比はプロ注目の左腕、山田が三回までに5点を失い、劣勢に立った。後半反撃したが、八回に吉田の適時打で1点を返すにとどまった。
   
帝京 203 000 000|5
気比 000 000 010|1
 

8回裏敦賀気比

敦賀気比−帝京 8回裏敦賀気比2死二塁、吉田の左前打で二走李(左から2人目)がホームを突き、1点を返す=甲子園

 
 【評】敦賀気比は頼みのエース山田が立ち上がり、帝京打線につかまり、序盤で5点を失う苦しい展開となった。後半、攻撃で当たりが出始め、八回に1点を返すなど反撃したが、届かなかった。
 山田は初回、先頭の二塁打から1死二、三塁とされ、4番佐藤の中前打などで2点を先制された。三回は帝京に大会タイ記録となる1イニング4本の二塁打を献上、3点を追加され、0―5とリードを許した。四回以降は好投、緩急をつけた投球で三塁を踏ませなかった。
 気比打線は帝京のエース平原の最速149キロの直球とカットボールにてこずり、五回まで1安打。後半に入り、六回1死二塁、七回2死一、三塁と攻めたが、決定打が出なかった。
 八回2死無走者から李が右翼線二塁打で出塁すると、続く吉田の左前打で生還し、待望の得点を挙げた。九回も先頭の久保が左前打で出て望みをつないだが、代打攻勢も実らなかった。(水口浩樹)
 
終盤 意地の反撃
 
 敦賀気比打線が後半、奮起した。「相手投手はとばしすぎている。必ず球威が落ちてくる」。林監督がにらんだ通り、帝京・平原を中盤からとらえ始めた。8安打中、実に7本が六回以降に飛び出した。序盤の失点を取り返すまではいかなかったが、終盤に1点をもぎ取り、意地を見せた。
 六回に先頭で中前打し、反攻ののろしを上げたのが錦織。「1本出て楽になった」と、八回にも先頭で左前打。得点にはつながらなかったが、リードオフマンとして存在感を示した。
 七回には久保が左前、木村が右前に、いずれも流し打ちの安打をマーク。コースに逆らわないシャープな打撃でチャンスをつくった。
 八回は無死一塁の好機が三振併殺でしぼんだ。しかし李が「このまま3人で終わったら、完全に流れを相手に渡してしまう」と気迫の右翼線二塁打をかっ飛ばした。
 2死二塁で1年生の4番吉田。過去3打席は凡退していたが、「塁上の開さん(李)を見たら、胸に手を当て『気持ちで打て』というメッセージをくれた」。高めの直球にバットを上からかぶせて強くたたくと、打球はライナーで左前へ。李が頭から本塁に滑り込み、歓喜を呼び込んだ。
 試合後、2年生の錦織は「悔しい」と目を赤くしたが、この日の2安打は次につながるはず。吉田も「甲子園での経験を生かし、新チームで一丸となって頑張りたい」と前を向いた。聖地のスコアボードに刻んだ1点を自信に、新生・気比が再出発する。
(水口浩樹)
 
白球 山田、スライダー誤算
 
 初回の先頭打者。敦賀気比の山田は、試合前のブルペンから走っていた直球をポンポンと投げ込み、カウント2―1と追い込んだ。しかし、決め球のスライダーが誤算だった。思うように制球できず、仕留めきれずにファウルで粘られ、甘く入った9球目を二塁打された。

力投した山田

序盤苦しみながらも力投した敦賀気比の山田

 この一打をきっかけに2失点。試合前「3点取られると苦しい」とみていた林監督のゲームプランに暗雲が漂った。山田を中心に堅守で打力の弱さをカバーしてきたチームに、ビハインドが重くのしかかった。
 山田は三回にも集中打を浴び、5点差に引き離された。「スライダーが浮いてしまった」と悔やんだ。林監督は「抑え込んでやろう、と力みすぎていた」。
 帝京打線はさすがだった。福井大会で新記録の49奪三振をマークした山田の決め球スライダーを、厳しいコースはカットし、甘く入れば逃さず打ち返してきた。前田監督が「山田君のスライダーはいい球だが、捨てるのではなく、選手にはあえて挑ませたい」と話していた通りの打撃。わずかなすきを突いてくる走塁もしたたかだった。
 しかし四回以降、山田は投球スタイルを変えて立ち直った。大きく割れるカーブを増やし、直球とのスピード差を生かして打ち取った。走者は五回を除き毎回出したが、けん制で刺すなど落ち着いたマウンドさばきも光った。
 昨春の選抜大会に続く2度目の甲子園も無念の初戦敗退となった。「こういうところ(大舞台)で自分のピッチングができなかった。まだまだだと思います」。試合後は終始、硬い表情だった。
 今後も野球を続ける意向だ。OBになぞらえ「内海(現巨人)2世」と呼ばれ、高校時代の比較では内海を超えたとも評された。さらなるレベルアップを目指す左腕に、聖地で味わった悔しさがきっと糧になる。(水口浩樹)
 
正捕手・渡辺 直前に骨折 仲間を鼓舞
 
 試合の4日前、敦賀気比の正捕手渡辺を悪夢が襲った。バント練習中に投球が右手人さし指に当たり骨折。「3年の最後に、こんなことになるなんて…」。先発マスクは2年生の久保に譲った。
 エース山田とは中学時代からバッテリーを組んできた仲。山田と甲子園で戦うことを夢見て、進学先は気比に決めた。そして最後の夏、県大会をともに勝ち抜き、切符をつかんだ。だが実現を目前にして、夢は無情にも遠ざかった。

久保(左)と話す渡辺

1回表の守備を終えベンチに戻る久保(左)と話す渡辺

 試合前、渡辺は「今日は自分のできることをしっかりやる。僕は引きずるタイプじゃないんですよ」と明るく話した。言葉通り、ベンチから盛んに声を出し、ナインを勇気づけた。イニングの合間には、山田の投球練習を受ける場面もあった。
 久保には前夜、「緊張したら自分のプレーができない。楽しんでいけ」と声を掛けた。試合後は「盗塁も二つ刺したし、よくやった」と褒めた。
 「チームに迷惑を掛けてしまった。今日も、もっとみんなに届くような声を掛ければよかった」。背番号2は赤い目で反省の言葉を続けた。その姿が、甲子園を勝ち取った一員としての矜持(きょうじ)を感じさせた。(水口浩樹)
 
控え・久保 2盗塁阻止 代役果たす
 
 「あまりの驚きに頭が真っ白になった」。正捕手渡辺のけがで林監督から急な出場を告げられた久保。「でもやるしかない」。すぐに覚悟を決めた。立ち上がりにこそ失点を許したが、四回以降のエース山田の好投に貢献。2盗塁を阻止、打っては2安打するなど、見事な女房役だった。
 緊張がないわけではなかった。山田とは県予選を通して公式戦で初めてバッテリーを組んだ。三回までに5失点。後輩をフォローしようと、山田も力んでしまった。
 しかし四回からは、内角低め中心だったリードを外角低めに変更。カーブも織り交ぜ、帝京打線を手玉に取った。四回と八回には、盗塁を落ち着いた送球で仕留めた。点を取られてしまったことから「自分が何とかしないと」と、七回に安打を放ち、三盗も決めて見せ場を演出。最終回にも先頭打者として出塁する意地を見せた。
 2年生として甲子園初出場ながら申し分ない活躍。しかし次の試合での渡辺の回復を信じ、勝利を約束していただけに「申し訳ない…」と悔し涙をこぼした。
(川上桂)
 
最後まで粘った
 林博美・敦賀気比監督の話 山田は序盤、力みすぎていた。捕手の久保は予想以上によくやってくれた。六、七回に1点でも返しておけば…とも思うが、よく最後まであきらめずに粘った。
 
後半、開き直った
 李開・敦賀気比主将の話 山田の球は悪くなかった。序盤は相手の集中力が上だった。後半は開き直っていけた。チャンスは必ず来る、とナインには声を掛けた。最後まで粘ることができた。
 
5点取れほっと
 前田三夫・帝京監督の話 初戦ということで選手は緊張していたが、その中で前半に5点取れてほっとしていた。山田投手は変化球が優れており、低めの球に手を出すなと指示していた。
 
練習成果、生きた
 佐藤秀栄・帝京主将の話 コントロールに優れた山田投手対策として、厳しいコースでも手を出し、そして甘いコースなら振り抜く練習を徹底してきた。その成果を試合で生かすことができた。
 

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