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 「環境の世紀」と叫ばれて久しい。昨年は物価高に始まり、世界同時不況が暮らしに追い打ちをかけている。福井の生活者はこれからの時代、どこに豊かさを見いだし生きていけばいいのか。生活の楽しみはどこに・・・。取材のキーワードは「e」。この“ふくe”を舞台に、「economy(節約)」で「ecology(エコ、環境)」な「e(いい)暮らし」を「enjoy(楽しく)」送っている生活の“達人”を追う。     (ふくeライフ取材班)



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2009年3月26日(木曜日)

先人の知恵に触れ 豊かな未来へ一歩

eライフプロジェクト開く
 

車座トーク

居間で連載に登場した人たちと、活発に意見を交わした「車座トーク」=鯖江市河和田町の丸山さん宅

 本紙連載「ふくeライフ」第2章「再利用術の巻」に登場した”暮らしの達人”らが集うプロジェクト「い〜ざ うららのふくeライフ」が22日、鯖江市河和田町の丸山敏子さん(80)宅で行われた。築百年以上の古民家で車座トークなどが開かれ、参加者がエコと節約を心掛けたいい暮らしについて語り合い、先人の知恵を生かした豊かな福井ライフとは何か―を考えた。
 
鯖江・河和田 連載登場者熱く語る
 
 連載は、昨年5月から「economy(節約)」「ecology(環境)」「enjoy(楽しむ)」の頭文字「e」をキーワードに計32回あり、持続可能な社会づくり、暮らしを福井で実践する方法を探ってきた。
 催しは連載を締めくくるに当たり、ふくeライフ取材班などが企画。連載に登場した、太陽熱を暖房に利用する寺杣(てらそま)督平さん(60)夫婦=敦賀市=や囲炉裏(いろり)のある古民家に住む南康夫さん(42)=南越前町=やその家族、知人ら総勢約40人が出席した。コーディネーターは、環境文化研究所の田中謙次さん(38)=越前市=が務めた。

丸山さん

蔵の中にあったみのを説明する丸山さん(左)

 参加者は、昔ながらに残された庭園や屋敷内を一巡。丸山さんの案内で、蔵に保存された民具を見学、そこに秘められた先人の知恵を一緒に考えた。玄関の太い梁(はり)にはブランコが取り付けられ、孫を遊ばせていたという。丸山さんは「この梁は昔、米俵をつるす収納庫の役割があった。何個ぶら下げても大丈夫なくらい頑丈。梁や柱を灰で磨くとすすもきれいに落ち、つやつやによみがえる」などと解説、参加者をうならせた。

ひな飾り

玄関に置かれたひな飾りは
空き瓶や空き缶を土台に作ったもの。作り方などを説明する丸山さん(左)

 車座トークでは、障子に白い布を掛けた簡易スクリーンを仕立て、これまで新聞に掲載した写真を投影。連載を振り返りながら、これからの暮らしのヒントを探った。
 福井市のレゲエ歌手、SING J ROYさん(34)によるエコライブもあり、夕食では、丸山さんら地元の人が作る素朴で温かい郷土料理が振る舞われた。フキノトウの酢みそあえ、麩(ふ)のからしあえ、納豆汁など10品がずらり。「ほんこ(報恩講)さんなどの行事があると、昔は必ず手作りの料理を振る舞った」という丸山さん。先人の知恵を受け継ぎ、手間暇をかけた懐かしくも味わい深い料理の数々に、参加者は舌鼓を打っていた。

郷土料理

 100年以上使われた漆器に昔ながらの温かい郷土料理が盛られた

 あわら市金津創作の森のガラス作家、高緑由美子さん(38)の作った器や丸山さん宅で100年以上使われてきた漆器が並び、料理とのコラボレーションを視覚でも楽しんだ。
 最後にコーディネーターの田中さんが「これを機に、今後も継続してふくeライフイベントを開いていけないか」と参加者に提案、今後は、それぞれが自主的な形で、ふくeライフのコンセプトを緩やかに県内に広げていくことを確認した。
 
石油頼らず/古い物大切に/直して使う 
“達人”の生活披露

 
 「悠久の歴史を刻む暮らしにこそ、真の豊かさがある」―。車座トークをはじめ、会場では連載に登場した”達人たち”から、それぞれの生活が意味するものについて、活発に持論が展開された。共通するのは、世の中が便利さやスピード、快適さを求める中で、現代人が置き忘れてきたもの、日本人が古来培ってきた暮らしへの深いまなざしだ。
  若狭塗箸(ばし)をマイ箸として使い、県内外で普及活動に努める山口ちとせさん(56)=越前市=は「切ったり混ぜたりと、箸が食物に合わせた使い方ができるのと同様、着物や日本家屋も、使う相手に柔軟に対応できる。これは相手に合わせる日本人の思いやりに通じるもの」と意見を述べた。
 南康夫さんは「古い物が美しく朽ちていく素晴らしさを理解するのが、これからの日本人に大事と感じる」。妻のさおりさんも「わが家の家具はいただきものが多い。だけどきれいにすれば、まだまだ使えるものばかり」と話した。
 太陽光発電、雨水タンクなど自宅を”エコ仕様”に仕上げて暮らす寺杣さんは「今後も、石油に頼らない暮らしを心掛けたい。丸山さん宅のブランコに感動したので、わが家の吹き抜けにも、子どもがロープで上り下りできるような仕掛けを作ってみたい」と今後のプランを述べた。
 連載に登場した人以外からも活発に意見がでた。鯖江市の久保田裕之さんは「本当に大事なことを当たり前のように伝えていく大切さを感じた。『当たり前』がこれからのキーワード」。地元河和田町の住民も「ペットボトルは五百円で売り、四百円で回収するなどすれば、回収率も今より上がるのでは」「本当にいいものは、メンテナンスが効く。河和田の漆器も、今直すことに力を入れているので、ぜひ直して使って」などと話していた。
 最後にふくeライフ取材班の山内孝紀デスクが「古き良き物に豊かさを見いだし、享受することこそが、持続可能な社会づくりの一歩。それを支えるのはやはり、手作りのたくましさ」と話していた。
 
「廃材楽器」でエコライブ
レゲエ歌手SING・J・ROYさん

 
 SING J ROYさんによるエコライブは、ガラスの端材や空き瓶を使った「廃材楽器」を参加者も使い、ステージと一体になって盛り上がった。J ROYさんは「僕たちは地球に住ませてもらっている存在。環境を守るため、僕ら若い世代から変わっていかないといけない」とのメッセージを込め、レゲエに触れたことがなかった年配の参加者も、歌詞の温かみに共感していた。

「廃材楽器」でライブ

丸山さん宅の2階で電気機材を使わず演奏し「若い世代から意識を変えていこう」と熱唱したSING J ROYさん(左から2人目)/p>

 ROYさんは古き良き物を尊重し、素朴に生きるジャマイカの人々を歌った「JAMAICA ISLAND」や、争いをなくしたいとの思いを込めた「NO MORE WAR」などの持ち歌を披露。福井弁や福井の風物を歌詞にちりばめたヒット曲「ほやほや」を歌うと、会場は一段と盛り上がった。友情出演した岐阜県のレゲエ歌手、G2さん(26)も岐阜弁の曲「やんやん」や、母親への感謝の気持ちをつづった「Letter―おかんに贈る音の手紙」などの持ち歌を歌った。
 ライブの締めくくりには、J ROYさんが連載のテーマソングとして提供してくれた新曲「もったいない」をG2さんと披露。「捨てるにはまだ早い 感謝を忘れない」「俺(おれ)たちの手で変える未来 大切にしよういつまでも」と、熱のこもった歌声を響かせた。
 参加者もガラスの端材を空き瓶やペットボトルに入れ、廃材楽器を即興で手作り。2人の歌に合わせてマラカスやハンドベルのような音色を奏で、リズムに乗って歌を楽しんでいた。
 廃材楽器を提案した高緑さんは「端材は本来捨てられる運命。こんなふうに使ってもらい、ガラスも喜ぶと思う」と笑顔だった。
 
古新聞は“アート”に
福井大・武井さん活用策を提案

 
 「再利用術」を掲げるからには、読み終わった古新聞の活用も探れないか―。取材班はそんな発想から、県内外の展覧会に出品する新鋭の造形作家、武井文(あや)さん(24)=福井大大学院=に再利用の研究を依頼した。若い感性を生かして作った作品は、当日の会場で披露された。
 1回目の打ち合わせのとき、武井さんはランプシェードや脅迫状風レターセット、オブジェなどいくつかアイデアを提案してくれた。その中で取材班の興味を引いたのは、新聞の見出しや写真を使って、自分の写真をはめ込んだコラージュ。

古新聞でアート

古紙を利用したコラージュを披露した武井文さん=福井市の福井大

 「新聞って、手で触れて、指でめくり、気になる記事はスクラップできるとても身近な存在。それに、福井新聞のような地方紙は、どんな人でも主役になれる。その二つの特性を形にした」と武井さん。早速作ってもらった。
 作り方は簡単。野球、サッカー、バレーボールなど、お気に入りのスポーツ記事の写真を切り抜き、さらに顔の部分を丸く切り抜いて、そこに自分の顔が写った写真をはめ込む。市販のフォトフレームに入れれば完成。さらに「気に入った見出しや言葉も紙面から切り抜いて添えれば、もっと楽しく面白い作品に仕上がる」と話す。
 会場では、新聞の新しい活用方法が来場者の注目を集めていた。

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