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福井県の高い学力を支える要因 小中教員による「授業研究」注目

(2016年3月13日午後5時10分)

拡大 他校の教員と練り上げた指導案で由利公正の授業を行う中山教諭(中央)=1月、福井市美山中 他校の教員と練り上げた指導案で由利公正の授業を行う中山教諭(中央)=1月、福井市美山中


 福井県の小中学生の高い学力を支える要因の一つに、教員同士による「授業研究」がある。校内のみならず、学校の枠を超え、子どもたちにとって「より良い授業」を模索する取り組みに、県内外から注目が集まっている。

 1月、福井市美山中の2年の社会で、幕末・明治期に活躍した福井藩士、由利公正を題材にした授業が行われた。

 「明治維新によって、由利公正の目指した日本は実現したかな?」と問いかける中山貴寛教諭(25)。ある男子生徒は「学制で庶民の学力や判断力がついた。実現したと思う」。すると女子生徒が「年齢や国税納付額で選挙権は制限されていた。由利公正が目指した政治じゃない」と反論。議論は熱を帯びた。

 授業は、福井市中学校社会科授業研究委員会(市社研)の提案(公開)授業として行われた。市社研は1990年に発足した、主に福井市内の社会科教員でつくる勉強会で、本年度は71人が参加。歴史、地理、公民の各部会ごとに毎年、提案授業を行っている。教員による自主的な勉強会としては県内で先駆的存在だ。

 ■学習課題練り直し

 歴史部会は提案授業に向け、昨年10月以降、計7回の「指導案検討会」を重ねた。「生徒の話し合いが深まるにはどうすればいいだろう」「この資料を使うと生徒たちに分かりやすいのでは」。授業や部活を終えた午後6時ごろに教員が集まり、毎回2〜3時間、激論を交わした。

 今回、授業者として立候補した中山教諭は当初「明治維新」を学ぶ単元(全9時間)の1時間目で由利公正を題材にし「由利はどのような日本を目指したのか」という学習課題を考えた。ところが、検討会の中で先輩教員たちから「単元全体の集大成として由利を学習しては」といった指摘が出て、最終的には1時間目から9時間目に変更、学習課題や学習活動を大幅に練り直した。

 中山教諭は採用1年目で、美山中には社会科教員は一人だけ。授業後「専門的知識や指導法を先輩方から学べて勉強になった。生徒同士の活発な意見のやりとりがあり、良かった」と振り返った。市社研の歴史部会長を務める柳生敏明・大東中教諭(38)は「若手教員の自由な発想や熱い思いを尊重し、みんなで工夫して授業を考えるのが市社研の良さ」と強調する。

 ■助け合うコミュニティー

 こうした取り組みは、2月下旬に開かれた福井大教職大学院の「実践研究福井ラウンドテーブル」で、県中学校教育研究会福井ブロック社会科部会長代理の森上愛一郎・至民中教頭(56)、市社研委員長の松原義之・明道中教諭(46)らが報告。県内外から参加した約200人の教育関係者が耳を傾けた。

 発表を聞いた同志社中(京都)の井口和之教諭(45)は「京都でも同様の教員集団はあるが、政治色、組合色が強く、若手教員は距離を置きがち。福井のように若手のスキルアップにつなげている事例は参考になる」と話した。

 県外から本県に派遣されている教員にも学校の枠を超えた授業研究は新鮮なようだ。福井ラウンドテーブルで「見えてきた福井らしさ」と題して報告した県義務教育課の船田次郎主任(47)=鳥取県から派遣=は「教員個人にお任せでなく、助け合うコミュニティーの存在が教員の力量形成につながっている」と、福井の強みを分析した。

 福井大教職大学院の木村優准教授(38)は、市社研の授業や検討会を見た経験から「先生方が楽しんで授業研究しており、忙しさの中でも授業への活力につなげている印象。市社研のような組織が福井の教育の魅力の一つでは」と述べた。

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