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ぼうこうがん5人発症、福井の工場 訴え無視されたと発症従業員

(2015年12月21日午前8時40分)

拡大 従業員ら5人がぼうこうがんを発症した三星化学工業の福井工場=20日夜、福井市白方町 従業員ら5人がぼうこうがんを発症した三星化学工業の福井工場=20日夜、福井市白方町


 染料・顔料の原料製造工場の従業員ら5人がぼうこうがんを発症した問題で、この工場は三星化学工業(東京)の福井工場=福井市白方町=と20日、分かった。同社の泉谷武彦社長は取材に「法令は順守していたが、対策が十分だったのか調べている」と話した。

 社長によると、工場は1988年設立。ぼうこうがんを引き起こすとの指摘がある物質「オルト―トルイジン」を扱っていた。作業工程ではマスクや手袋、帽子を着け、換気装置もある。5人は主に、液体のオルト―トルイジンからつくった粉末状の物質の袋詰めをしていた。機械の保守点検時に粉末が舞うこともあった。

 医師の診断では、他の従業員の健康に問題はなかった。同社の他工場でもぼうこうがんの発症例はないが、退職者の健康状態も調べるという。

 この問題をめぐっては、厚生労働省が18日に発表。同省によると、5人は40〜50代の男性で、昨年2月〜今年11月にかけてぼうこうがんと診断された。今月3日、工場から所管の労働局に相談があって発覚した。

 工場側はこの物質の危険性を認識し暴露防止措置を取っていたが、同省は「どこかで漏れがあったと判断せざるを得ない」としている。5人には労災申請を勧めている。

 発症した5人のうちの一部が入る労働組合「化学一般労連関西地方本部」(大阪)は21日、今回の問題で報道関係者向け説明会を福井市で開く。

 三星化学工業のホームページによると、同社は1953年に設立。有機顔料中間体などの製造販売を手掛けている。福井市のほか、埼玉県越谷市と福島県相馬市に工場がある。


 「訴え無視された」 発症従業員

 三星化学工業福井工場に勤務し、ぼうこうがんを発症した従業員ら5人のうち、坂井市内の男性(56)が20日、福井新聞の取材に応じ「何度も会社側に危険性を訴えたが、対応してくれなかった」と怒りをあらわにした。

 この男性は18年余り、福井工場に勤務。オルト―トルイジンからつくった粉末状の物質を袋詰めする作業や、機器の修理の際に機器にこびりついた粉末の結晶をへらで落とす作業に従事し「作業が終わると顔が(粉で)真っ白になった」と振り返る。

 オルト―トルイジンは化学物質「芳香族アミン」に分類される。工場では、芳香族アミンの動物への発がん性を指摘する文書が約4年前に従業員に配布され、この男性は「みんなびっくりした」と話し、「そのときから粉じんにさらされていることを上司に言い続けてきたが、会社は『今まで通りやれ』と言うだけだった」と憤った。

 男性は今年11月にがん発症が分かった。発症とオルト―トルイジンの因果関係は認定されていないが「どんな結果になろうと、訴えを無視し続けたのが一番許せない」と話す。男性によると、男性を含む3人が近く労災申請をする予定という。

 
 【オルト―トルイジン】

 国際がん研究機関(IARC)は、発がん性があり、ぼうこうがんを引き起こすと指摘している。日本化学物質安全・情報センター(東京)によると、2001年時点の世界の製造量は11企業で計5万9千トン(推定)。除草剤を製造する際に使われることが多いが、染料や顔料の原料となる物質を造る際にも使われる。

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