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ホルモンを鼻スプレーで自閉症軽減 福井大チーム検証、結果に男女差

(2016年8月24日午前11時40分)

拡大 自閉スペクトラム症の患者にオキシトシンを投与した臨床試験の結果を説明する小坂教授(右)=福井大の松岡キャンパス 自閉スペクトラム症の患者にオキシトシンを投与した臨床試験の結果を説明する小坂教授(右)=福井大の松岡キャンパス


 発達障害の一つ「自閉スペクトラム症」の症状を軽減すると注目されるホルモン「オキシトシン」を青年期の男性患者に鼻からスプレーで継続して投与すると、投与量が多いほど効果が大きいとする臨床試験の結果を、福井大子どものこころの発達研究センターの小坂浩隆教授(42)らのチームが23日までにまとめた。

 患者の遺伝子の違いが効果に影響することも判明し、これまで十分に分かっていなかった投与量と効果の関係や個人差の解明につながり、治療法の確立に向けた重要な成果という。同日付の米科学誌電子版に論文が掲載された。

 同大主体の研究で、金沢大、東京大が参加した。自閉スペクトラム症と診断された知的障害のない15〜39歳の男性47人、女性13人の計60人に対して12週間行った。オキシトシンの投与量が多いグループと少ないグループ、偽薬を使うグループに分け、投与量や遺伝子の型を確認して効果を比較、検証した。

 この結果、男性患者では投与量が多いほど「視線が合う」「共感が強まる」「会話量が増える」などの改善効果が大きく現れた。投与量が比較的少ない場合は、オキシトシンと結びつくタンパク質(受容体)の型を決める遺伝子の違いで効果の程度が異なった。

 女性患者は、偽薬でも症状が軽減した例が複数あり、オキシトシンの効果がはっきりしなかったという。男女とも、試験期間やその後の投与を通じて、重い副作用はなかった。

 今後さまざまな投与量で効果の違いを調べ、症状軽減に最適な量を見つけることが期待される。将来的には遺伝子の違いによって効果を事前に予測し、個々の患者に合った治療が選べる可能性もある。

 鼻からスプレーでオキシトシンを投与する治療は、臨床試験で有効性や安全性を検証している段階。福井大は現在、東京大、金沢大、名古屋大と共同で計114人の患者を対象に大規模試験を進めている。小坂教授は「年単位の長期継続投与後の安全性確認など課題は残されているが、オキシトシンは自閉スペクトラム症の治療薬として期待できる」と話している。


■自閉スペクトラム症 

 従来は「自閉症」「アスペルガー障害」「特定不能の広汎(はん)性発達障害」に分けられていたものが統合された。「視線が合いづらい」「人の表情や気持ちの理解が苦手」など社会的なコミュニケーションの障害がみられるほか、「興味範囲が狭い」「意味のない習慣に執着する」などの特徴もみられる。

■オキシトシン

 脳で分泌されるホルモンの一つ。信頼や愛情の形成、表情の認知などに関わることが分かってきて、人のコミュニケーションに重要な役割があると注目されている。日本では陣痛誘発・分娩(ぶんべん)促進の注射剤だけ保険適用が承認されている。点鼻スプレーは自閉スペクトラム症の治療薬としてどの国でも認められていない。

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