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被災地支援呼び掛け 寺の役割(8)

(2011年5月30日午後3時13分)

拡大 被災地支援へ寺のネットワーク設立を呼び掛けた佐々本住職=鯖江市石田下町の専光寺 被災地支援へ寺のネットワーク設立を呼び掛けた佐々本住職=鯖江市石田下町の専光寺


「人助け」を取り戻す

 東日本大震災発生後、県内の真宗大谷派寺院有志で4月に結成した「大谷派災害ボランティアネットワーク福井」。その設立の呼び掛け人となったのが、鯖江市石田下町の同派寺院、専光寺の佐々本尚住職(37)だ。約40人が賛同、あわら市の吉崎別院や鯖江市の真宗誠照寺派本山でのチャリティーバザーにこぎ着けた。「被災地支援のために寺のネットワークを生かしたかった。ゆくゆくは被災地での活動のほか、福井をベースにした活動も展開できれば」

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 佐々本さんはNPO法人「ふくい災害ボランティアネット」に所属。今回の震災後は「チームふくい」の一員として、被災地の岩手県陸前高田市でこれまでに4回活動した。避難所のニーズ調査や民家のがれき撤去に汗を流した。活動の様子は、震災後に本格的に始めたブログを通して発信し続けている。

 1997年のロシアタンカー・ナホトカ号の重油流出事故が、災害ボランティアに関わり始めたきっかけ。当時、スタッフとして、ある寺にボランティアの宿泊所として使用を願い出たところ、あっさり断られた。「本来なら、お寺のような存在が率先してボランティアの拠点となるべきだと思うが…。悲しかった」。苦い思い出が、今回のネットワークの設立に結び付いている。

 「寺組織内部であれこれやっていてもダメだと思う。社会に関わり、多くの人に手を差し伸べたい」と話す。

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 佐々本さんは、坂井市三国町の真宗高田派寺院に生まれ育ったが、鯖江に住職が亡くなり後継者もなく無住となった寺があることを知り、2年前に大谷派のこの寺に飛び込んだ。

 縁もゆかりもない土地で、いかに寺を活性化させるか悩みの連続だ。「コンサートをしたり落語会をしたりして、敷居を下げることも一つの方法」。だが、最終的には「地道に親鸞聖人の教えを問い、伝えていくことしかない」と思う。

 「一般の人たちの素直な思いをくみ取る力をなくしているのかもしれない」と、寺の現状に危機感を募らせる。「寺にいると、野菜類からちょっとしたものまで“いただき癖”がついている。お布施にしても、何万円ももらってもびっくりしなくなってくる」。長年続けている被災地でのボランティア活動が、「困っている人を助けるという当たり前の感覚」(佐々本さん)を寺に取り戻す契機になることを願っている。

 「人の生きづらさは今後、ますます強くなり、“教えの需要”は決してなくならない」と話す。門徒から簡単に布施が入る時代ではない。将来的には、寺の建物の存続は難しいかもしれないとも感じている。「大きな伽藍(がらん)は必要ない。私塾のような形態でも、教えを聞きたい人の集まりになればいい」。災害の現場で救いの手を差し伸べる佐々本さんの目は、未来に向かっている。


 

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