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働く女性から転身 寺の役割(7)

(2011年5月29日午前7時50分)

拡大 ヒナギクが咲き誇る教順寺の境内。小泉雅子住職が極楽浄土をイメージして育てているという=12日、あわら市市姫2丁目 ヒナギクが咲き誇る教順寺の境内。小泉雅子住職が極楽浄土をイメージして育てているという=12日、あわら市市姫2丁目


心を解きほぐす場に

 「企業戦士でしたね。仕事と結婚したので、お寺に戻ってくるつもりはなかった。当時の知人たちが今の私を見たら、驚くでしょうね」。あわら市市姫2丁目の浄土真宗本願寺派寺院、教順寺の小泉雅子住職(65)は、大手電機メーカーを退職し同寺に戻った14年前を振り返る。

 6人きょうだいの三女として、同寺に生まれた。長姉夫妻が寺を継いだが、住職だった義兄、後継ぎの長男が相次ぎ死去。心労が重なり病気になった姉に代わって、坊守として寺に入った。

 「我流だけど、お経も上げられる。寺で育ったので仕事は分かっていた」。坊守としての新しい生活に特に不安を感じていなかった。しかし寺に戻って間もなく姉が、7年前には住職を継いでいた姉の二男が亡くなり、後継者不在に。葬儀が営まれた日、門徒たちを前に「得度して寺を守っていきます」と宣言した。企業戦士だった人生は180度変わっていた。

  ■  ■  ■

 「お寺は敷居が高い、入りづらいと言われた。地域の人たちが気軽に集まってもらえる場所にしたい」。小泉住職は坊守だった時代から、同寺の門徒だった画家、故志田弥広さんの個展を皮切りに、絵画展や音楽会などさまざまなイベントを企画してきた。

 地域の人たちが絵画や書、造形作品などを発表する「皆さまの作品展」は今年で6回目を迎える。「門徒さん宅の報恩講で手作りの作品を見たのがきっかけだった。最初は知人らに呼び掛け、徐々に出品者が増えていった」。今では5日間の会期中に700人が来場する、6月下旬の恒例イベントとしてすっかり定着した。

 「この寺の門徒でなくてもいい。寺に足を向けるきっかけになれば」。人形劇と弁当を楽しむ3月の「ひなまつり」、お年寄りたちが会話と手芸を楽しむ5月の「楽楽サロン」、子どもたちが夏休みの宿題をする7月の「ワイワイ塾」、小泉住職が腕を振るう11月の「精進料理フルコース」…。世代ごとのイベントを毎年時期を決めて開いている。

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 約450年前に建立されたという歴史ある同寺。4月中旬から5月中旬にかけて境内は、真っ白なヒナギクに埋め尽くされる。「花々で極楽浄土を再現しているつもり。砂利を入れないのは照り返しで境内が暑くならないように、という理由もあるの」と語る。築400年という本堂はバリアフリー化し正面に段差の小さい階段を設けたほか、報恩講などのお参りはすべてイス席にするなど、あちこちに小泉住職の細やかな配慮が見える。

 小泉住職は会社を辞めて、寺に帰った日の感覚が忘れられないという。「本堂で手を合わせたとき、肩の力がすーっと抜けていった。すごく温かなものに包まれた。本堂の空気が私の心を解きほぐしてくれた」。小泉住職の活動は、「会社で一生懸命働く人たちに、自分と同じ気持ちを味わってもらいたい」という願いが出発点になっている。


 

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