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再稼働で揺れるおおい町民 関西圏との溝に不満も

(2012年5月13日午前9時27分)

拡大 大飯原発3、4号機の再稼働をめぐって開かれた住民説明会。安全性や産業・雇用面の不安、立地地域への無理解を指摘する声など、町民の複雑な胸中を映し出した=4月26日、おおい町総合運動公園体育館 大飯原発3、4号機の再稼働をめぐって開かれた住民説明会。安全性や産業・雇用面の不安、立地地域への無理解を指摘する声など、町民の複雑な胸中を映し出した=4月26日、おおい町総合運動公園体育館


 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐり枝野幸男経済産業相が4月14日に地元へ協力要請してから1カ月近く。同意するかどうか、福井県おおい町としての判断時期が近づきつつあるが、全国から注目を浴びる町民の胸中は複雑だ。安全性への懸念、冷え込む地域経済や雇用の不安が入り交じる。一方で「事故が起きれば“加害者”になりかねない」との重圧がのしかかる。立地地域へ“悪意”を含んだ視線が注がれていると感じる住民、「孤立感」を口にする人もいる。地元は悩み、揺れている。(青木伸方)

 4月19、20の両日開かれた町会の議会報告会では、原発立地の立場が理解されているとは言い難い現状に不満、怒り、戸惑いの声が相次いだ。

 「立地地域は危険と隣り合わせで長年生活し、そのために恩恵を受けてきたのを『悪』みたいに思われている」

 「反原発団体がビラをまいているが、原発関連で働く町民の生活を保証してくれるのか」

 電力消費地の関西圏が反対している中、「拙速に再稼働を容認して事故が起きれば、加害者の立場になる」と話す男性もいた。

 従来、町内では原発に否定的な意見は言いにくい空気があった。今は逆だ。「再稼働を望んでいるが、大々的に声を上げられない。地域振興策の駆け引きをしているように思われるから」と吐露するのは旅館業の男性。「今は我慢しかない」と息を潜めるように語る。

■  ■  ■

 大飯原発の足元、大島地区で民宿を営む森下弘治さん(55)は4月26日夜の住民説明会で「想定外は許されない。経済面と安全面は切り離して考えるべきだ」と述べ、再稼働は時期尚早だと訴えた。

 民宿の利用客はほとんどが原発関連の作業員。4月からは宿泊がない状況で、運転停止がさらに長引けば影響は計り知れない。慎重論を唱えれば“得意先”を失う恐れもある。しかし、あえて声を上げた。「福島の事故を見て、被害範囲は町内だけでは収まらないと分かった」からだ。

 森下さんはこうも語る。「関西があれだけ反対しているのに、おおい町だけがOKしたら『また原発マネーが欲しいんか』と袋だたきにあう。政府は信用できん。仮に事故が起こっても、誰も責任を取ってくれん」

 立地に伴うリスクと引き換えに、多額の電源三法交付金などを得てきたことなどへの批判を気にする住民は少なくない。

■  ■  ■

 「原発が迷惑施設ならば(電気の)利便を受ける者が『お願いします』というのが道理」。旧大飯町職員として大飯原発誘致やトラブル対応に携わり、助役も務めた永井學さん(78)は、住民説明会でこう指摘した。

 原発誘致の際には町長のリコール運動で町を二分する争いが起き、3、4号機増設時は反対派が詰め掛け騒然となった。永井さんは「立地は一朝一夕でなるものではない」と語り、数々の苦難を乗り越え、関西の経済や家庭生活のため電気を送り続けてきたとの自負をにじませる。

 しかし、そうした経緯が顧みられることはあまりない。「関西が受けてきた恩恵も含め、理解がないのは残念」と永井さん。「小さな町の声は大都市の声にのまれ、抹殺されそうな風潮」とさえ危惧している。

 立地と消費地、加害者と被害者という意識、立場の差、わだかまりを超え「協調して現実論でエネルギーを考えるべきだ」と主張するのは、同町岡安の無職下防和明さん(61)。

 夏場の電力需給見通しの厳しさや、代替エネルギーがない現状から、下防さんは原発の再稼働は不可避との立場だ。一方で「原発は過渡期のエネルギー」とも言い、原発に代わる新エネルギーを考えていくことも手を携えて取り組んでほしいと願っている。

 

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