原発の長期運転停止が嶺南の経済に与える影響を探るため、福井県が1月に原発と取引のある事業所を対象に聞き取り調査をした結果、約7割の事業所が本年度の売り上げが減少する見込みと回答していることが5日明らかになった。減少幅は平均約20%で、特に原発の作業員向けの民宿は70%近く減る深刻な事態となっている。
定例県議会一般質問で田中宏典議員(自民党県政会)に対して答えた。
県の調査は、原発と取引のある嶺南の事業所約1600社のうち約150社を抽出して行った。前年度比で売り上げの減少幅の大きい業種は、作業員向けの民宿が68・8%減、建設業は33・1%減。いずれも原発で定期検査などの維持・補修工事がなくなったのが主な要因とみている。
観光やビジネス向け旅館・ホテルは、風評被害などにより13・4%減。その他の業種も14・9%減り、中でもタクシー、作業員向けの弁当店、飲食店などが影響を受けているという。
一方、県の中小企業向け制度融資の1月末までの利用状況は、新規借り入れの経営安定資金が前年同期比で3割減の約9億円にとどまる一方、借り換えする資金繰り円滑化支援資金が1割増の13億円と伸びた。
県産業政策課は「売り上げの見込みが立たない中、経営者は新規借り入れに慎重になり、借入金の返済を軽減するためのニーズが高まっている」と分析し、原発停止の影響があるとしている。
雇用に関しても、事業主の都合による解雇者の求職が1月末までの半年間で380人と前年同期比で3割増加。厳しい経営状況から雇用調整などをしている実態がうかがえた。
県議会で西川知事は「原発の運転停止の長期化に伴い、企業が内部留保の余力を失うなど全体として経営環境の厳しさが増している」と説明。2013年度当初予算案に盛り込んだ事業などにより嶺南の産業基盤を強化するとともに、国に対して立地地域への支援制度創設を求めていくとした。