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7月期限、審査急ぐ原子力規制委 高浜原発1、2号機60年運転

(2016年2月25日午前7時00分)

拡大 関西電力高浜原発1号機(左)と2号機=2015年11月、福井県高浜町 関西電力高浜原発1号機(左)と2号機=2015年11月、福井県高浜町


 運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)について、原子力規制委員会が24日、新規制基準を満たしているとする審査書案を了承。再稼働した九州電力川内(せんだい)1、2号機(鹿児島県)や高浜3号機と同等の安全性があると認めた。今後は期限の7月までに、60年運転に向けた審査に合格できるかが焦点となる。期限に間に合わせようと、規制委が急いでいる姿勢も垣間見える。

 ■4基同時災害も通過

 関電が昨年3月に高浜1、2号機の安全審査を申請して以降、規制委が審査書案の了承までに開いた審査会合は計30回。既に合格した川内や高浜3、4号機、四国電力伊方3号機(愛媛県)の60〜70回に比べると半分以下だ。

 想定する地震の揺れや津波評価が高浜3、4号機の審査で終わっている優位さがあったとはいえ、期限をにらみ「急がないと一定程度の審査ができない」(田中俊一委員長)と人員を集中的に投入した。

 審査で焦点となったのは、防火性能が不十分なケーブルの火災対策。古い原発特有の問題で、規制委側は当初「(燃えにくい)難燃化対策のハードルは高い」と厳しく臨み、関電が示した防火塗料の対策を受け付けなかった。だが結局、難燃性ケーブルへの交換の代替策として防火シートで覆う対応を了承した。

 3、4号機を含め4基同時に重大事故が起きた際の対策は計3回の審査会合で通過した。規制庁は「各基で対応が完結できる要員と設備、経路の複数確保を求めた」とするが、被害想定や問題点の洗い出しなど“関電任せ”の部分もある。

 ■特別点検結果を分析

 今後は7月の期限をにらみ、新基準対応の詳細設計を示す工事計画と、60年運転に向け設備の劣化評価を調べる運転延長の審査に本格的に入る。

 運転延長は、既に合格した川内や高浜3、4号機の審査にはなかった初めての手続きだ。関電が提出した原子炉の劣化評価などの特別点検の結果を分析し、長期の保守管理方針を審査する。

 規制庁の担当者は「現時点で特別点検の結果に問題視するようなものはない」との見方。関電関係者も「運転延長も技術的にはクリアできる」と自信をみせる。

 一方、工事計画は関電の一部書類が未提出で、炉内構造物の耐震評価など重要な課題も積み残したまま。実証試験を行って耐震を確認するプロセスが控え、田中委員長は24日の会見で「試験の結果いかんでは違ったことになる。予断は許さない」と話した。

 1〜4号機共用の事故対応拠点となる緊急時対策所は審査書案で設計方針を認めたが、関電は完成時期を明示していない。仮に合格した後も、規制委の現地検査が必要になる安全対策は多い。

 ■原子炉劣化を注視

 「新基準さえ合格すれば60年運転も通るような印象を与えている。原発の運転延長は厳密に審査する必要がある」と警鐘を鳴らすのは、高経年化(老朽化)対策の専門家である井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)だ。

 問題視するのは、原子炉容器が中性子を浴びて劣化する「中性子照射脆化(ぜいか)」という現象。関電は運転60年時点の脆化影響を予測し、事故時でも原子炉容器は割れないと評価している。しかし、井野教授は「予測にアメリカのような確率論的手法を入れておらず、当てにならない」と批判。規制委の今後の審査を注視している。

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