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原発の安全性、本当に高まったか 高浜3、4号再稼働、課題を検証

(2016年1月20日午後5時10分)

拡大 内浦湾側に設置された防潮堤。その奥に高浜原発3号機(左側)と4号機が見える=福井県高浜町田ノ浦 内浦湾側に設置された防潮堤。その奥に高浜原発3号機(左側)と4号機が見える=福井県高浜町田ノ浦


 新規制基準に基づき、原子力規制委員会の審査に合格した福井県内の原発がいよいよ動きだす。関西電力高浜3号機は28〜30日に再稼働する予定で、4号機も2月下旬を目指して準備作業が進む。安全性は本当に高まったのか。万が一、事故が起きた場合の避難体制は万全か―。大飯3、4号機以来、約2年半ぶりとなる県内原発再稼働の課題を探る。

 「炉心の中が全部溶け落ちたとしても、(放射性物質は)格納容器の外には出ないとみている」。昨年12月の県会全員協議会。原子力規制庁の山形浩史規制総括官は、冷却手段の多様化など安全対策を説明した上で、高浜原発3、4号機の安全性をアピールしてみせた。

 東京電力福島第1原発事故では、地震と津波で全電源を失って原子炉が冷やせず、燃料が溶け落ちた。この事故を教訓に、規制は大幅に強化された。

 高浜原発の場合、想定する地震の揺れを550ガルから700ガルに引き上げ、津波対策として海抜8メートルの防潮堤を設置。さらに「重大事故は起こりうる」との前提に立ち、事故になったとしても進展を防ぐ設備や手順を新設した。電源や事故時の冷却手段を増やし、水素爆発を防ぐ設備も設けた。

 規制委は安全審査で厳格な姿勢を貫き、審査には2013年7月の申請から2年以上をかけた。福島の事故後、全国で唯一再稼働した12年の大飯3、4号機は“暫定基準”だったが、今回は法的にも位置付けられたため「安全性はさらに向上した」(関電)という。

 関電が高浜3、4号機の新基準対応で追加したのは、重大事故対策などに使う約720設備。対策費は1030億円超に上る。問題はこれだけ追加した設備を、実際に使いこなせるかどうかだ。

 昨年12月、2基の安全性を検証した県原子力安全専門委員会から答申を受けた西川知事は「最後はやはり人間であり、訓練だ」と強調した。安全対策が「ハード面中心に傾いている懸念もある」とし、訓練や教育などソフト面の充実を継続的に監視していく考えを示した。

 高浜原発の大塚茂樹所長は「福島のような事故を二度と起こさないとの決意で訓練を重ねてきた」と胸を張る。新基準で配備した設備などを使った訓練は千回を超えたという。県専門委は報告書で、関電の人材育成について「発電所の設備全般を熟知し、プラントシステム全体を俯瞰(ふかん)できる人材を育成していくこと」と注文を付けた。

 新基準ではテロ対策も求めている。ただ、事故時に格納容器の破損を防ぐフィルター付きベントの設置をはじめ、意図的な航空機衝突などに対応する「特定重大事故等対処施設」の完成はまだ先だ。

 規制委は同施設について「信頼性向上のためのバックアップ対策」を理由に、設置の猶予期限を原発ごとに「審査合格から5年」と変更。高浜3、4号機の場合は20年までの猶予を与えられた。

 テロ対策は「あらかじめシナリオを想定した対応操作は困難」(規制庁)という部分もある。県専門委の議論では、一部委員から使用済み燃料プールのテロ対策を不安視する意見も出た。

 県専門委は「テロ全体への対応には国の積極的関与が重要で、関係省庁と連携を図るべきだ」と規制委に注文した。規制委のみならず、自衛隊などを含めた国全体での対策が重要だ。

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