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サクラマスに魅せられ釣り人動く “聖地”九頭竜川保護へ環境作り

(2016年2月12日午前10時00分)

拡大 「福井にはすごい川があって、すごい魚がいると多くの人に知ってほしい」と話す安田龍司さん=福井県永平寺町の九頭竜川河川敷 「福井にはすごい川があって、すごい魚がいると多くの人に知ってほしい」と話す安田龍司さん=福井県永平寺町の九頭竜川河川敷


 サクラマスの“聖地”九頭竜川(福井県)にさおが並んだ。1日に釣りが解禁され、ことしも全国から太公望が集まっている。銀白の輝く魚体は、大きいもので長さ70センチ、重さ5キロを超える。

 「サクラマスの大きさや美しさ、釣りの難しさは、釣り人なら誰でも求めるもの。海を回遊して、生まれた川に必ず戻る神秘性もある」。九頭竜川の環境保全に取り組む釣り人団体「サクラマス・レストレーション」代表の安田龍司さん(52)=名古屋市=が、目を細めた。川岸では釣り人同士が気さくに交流し、情報交換している。魚と九頭竜川、両方の魅力が合わさり多くの人を引きつけている。

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 上流域から河口まで広範囲に生息し、海も旅するサクラマスは環境の大きな指標になる。安田さんは30年近く前に九頭竜川を初めて訪れて以来、自宅との行き来の道中で上流域までの様子を見た。いくつものダムや堰(せき)があり、所々で護岸工事が行われていた。「長良川と比べると水質が悪く水量も少ない。よくサクラマスがいるなと不思議だった」

 2008年に団体を立ち上げたきっかけは、支流の一つの永平寺川で撮影されたサクラマスの産卵シーンだった。十分に川底を掘れないまま産卵するため、すぐに卵がウグイに食べられていた。「サクラマスや九頭竜川の環境を守るため、自分たちでできることを地道にやっていこうと思った」

 最初に永平寺川を調査した時、仲間は3人だった。人工の産卵場を造った時は10人以上が集まった。次の年の参加者は20人を超えた。「生き物としてのサクラマスに関心を持つ釣り人が予想以上にたくさんいた」

 多くの構造物で遮られた遡上(そじょう)環境も大きな問題だった。特に永平寺町の鳴鹿大堰の下には、最大で約300匹がたまっていた。管理する国などに魚道を流れる水量の調整を提案し、大堰にとどまる魚は50匹足らずになった。

 自分たちの思いを知ってもらうため、何度も足を運び、少しずつ話をした。まずベテラン漁師が耳を傾け、県立大の若手研究者らも活動に加わった。団体で行った産卵場の調査結果を提供し、行政とも連携が深まっている。

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 いま、固有の遺伝子を守るために九頭竜川で釣れた親魚から採卵し、稚魚を育てて放流するサイクルができつつある。交雑の影響が懸念されていたアマゴの放流も、県内では一部を除いて廃止された。魚道改修の効果もあり、永平寺川の中流域に約40年ぶりにサクラマスが姿を現した。全ての支流で当たり前のようにサクラマスが産卵する。その姿を地域の人たち、子どもたちが見つめる。そんな未来を思い描いている。

 安田さんらが「サンクチュアリ(聖域)」と呼ぶ小さな分流がある。伏流水が豊富に湧き、本流の水温が25度以上になる真夏でも、サンクチュアリは18度前後に保たれる。冷水を好むヤマメやカジカ、アラレガコが伸び伸びと生息している。「流域の所々にいい環境が残り、九頭竜川の生態系を守るのに大きな役割を果たしている。人間が悪影響を与えてはいけない」

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