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芭蕉異端の弟子「乞食路通」に迫る 詩人正津さん風狂俳人の生涯本に

(2017年1月11日午後5時00分)

拡大 正津勉さんの評伝「乞食路通」 正津勉さんの評伝「乞食路通」


 福井県大野市出身の詩人で文筆家の正津勉さんが「乞食路通(こじきろつう) 風狂の俳諧師」を著した。困難な宿命を背負って俳聖芭蕉の弟子になり、同門に疎まれながらも師の寵愛(ちょうあい)を受けた路通の生きざまを、句作や芭蕉との関係を通して描いている。

 路通は、人物事典などによると、神職の家柄に生まれたが物乞いとなり、漂泊の旅の途中、琵琶湖の南で芭蕉と出会い、俳人としての力量を認められた。しかし慢心と放縦な性格のため同門に嫌われたとされている。ただ、詳しい生涯は分かっておらず、正津さんは本人や芭蕉の多くの作品、当時の事情などを基に、独自の視点からあらためて路通という人物を見つめた。

 そのきっかけになったのは、福井県おおい町出身の直木賞作家、水上勉と福井市出身の芥川賞作家、多田裕計の2人の同郷作家という。路通のことは若い頃から関心を持ち題材にしたいと思っていたところ近年、多田氏の「小説 芭蕉」を読み返し、路通が“裏主人公”であることを感じ取った。また水上氏に生前「なぜ路通という名が付いたのか」と尋ねた際、大きなヒントをもらったことなども記し、考察を広げている。

 120以上の路通の作品一つ一つを、その時々の芭蕉らの行動や作品を重ね合わせて心情や人となりを丁寧に読み取っている。「路通の句作は心底の発露。いまこそ聞くべき呻(うめ)きや嗤(わら)い、沈黙、憤りがいきづいている」とたたえ、深い愛情を注いでいる。

 「2人の郷土の作家の導きがなかったら、この本は書けなかった。福井の人にぜひ読んでほしい」と話している。

 246ページ、2千円(税別)、作品社刊。

 

 

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