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高浜4号機原子炉停止 原発の信頼は得られない

(2016年3月1日午前7時05分)

 「いったい関電は何をやっているのだ」。そう言いたくなる。

 約4年7カ月ぶりに再稼働した関西電力高浜原発4号機でトラブルが発生、原子炉が自動停止した。2月20日には放射性物質を含む1次冷却水漏れがあったばかり。それでも当初の想定通り26日に原子炉を起動した。再稼働を急ぐ関電の姿勢が問われよう。厳しい原子力規制委員会の新規制基準に合格し「万全の体制」を強調しても、これでは原発の信頼は得られない。

 原子炉補助建屋で発生した冷却水漏れの原因について関電は「配管の弁のボルトが緩んでいた」とした。「気の緩み」とは言いたくないが、今度は再稼働から3日でのトラブル発生だ。中央制御室に鳴り響く警報は、「想定外」がいつ起こるか分からないという警告でもあるようだ。

 発電と送電を開始する作業中のトラブルで、主変圧器周辺の故障の可能性が高いとみられる。徹底して再点検し3月下旬に予定する営業運転は急ぐべきではない。
 4号機は、一足早く26日に営業運転を開始した3号機とともに昨年4月、福井地裁が運転を差し止める仮処分決定を出した。関電が同地裁に異議を申し立て、別の裁判長が12月に決定を取り消し、再稼働を容認した。しかし、周辺住民らはあくまで再稼働の差し止めを求めており、この29日には名古屋高裁金沢支部で第1回抗告審が開かれた。

 関電は規制委の判断に基づき「原発の安全性は十分確保されている」と主張している。だが課題は多い。

 万一の過酷事故時に住民避難がスムーズにできるのか。高浜の場合は、被害が想定される原発から30キロ圏に本県のほか京都府、滋賀県の一部が含まれ、3府県合わせて12市町に及ぶ。広域避難訓練はいまだ実施されず、混乱が予想される。

 福島原発事故の教訓を生かすなら、訓練を重ねて課題を導き出し、住民不安を少しでも取り除く必要がある。広域避難には国の指導力が不可欠だ。課題の先送りは許されない。

 もう一つの不安材料がウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を使用するプルサーマル発電である。4号機は初となるが、青森・六ケ所村では再処理ができず、使用後の処理は国の方針も未定のまま。果たして原発内での保管に問題はないのか。

 使用済み核燃料の中間貯蔵にしても、県が強く求めている県外貯蔵について関電側は「2020年ごろ」と約束したが、当てがあるのか疑問が残る。

 一方、運転開始から40年超の1、2号機は規制委の審査に合格し「延命」手続きが進む。原発の原則40年運転制限は形骸化していく。費用対効果をにらみながら、本来「例外」のはずの運転延長に走る電力事業者。2030年度の電源構成に占める原発の割合を20〜22%にする計画の国。ともに老朽炉原発の「60年運転」が前提となる。原発回帰を急ぐ前に、高レベル核廃棄物の最終処分問題解決に道筋を付けるべきだ。

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