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沖縄宜野湾市長選 民意は辺野古移設なのか

(2016年1月26日午前7時05分)

 市長選をめぐる現職と新人の一騎打ち。普通の地方選であれば、さして話題に上らない。しかし、安倍政権と翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事の「代理対決」と銘打てば、国民も注目する。だが、問題の本質はどちらが勝ったかではない。そのことで何が克服でき、地域が心豊かに発展するかである。

 米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市の市長選は飛行場の返還が最大の争点だった。それは名護市辺野古への移設問題と重なり、安倍政権と協調する現職の佐喜真淳(さきまあつし)氏が、移設に反対する翁長氏支援の新人、志村恵一郎氏を破った。

 過去の選挙をみれば、名護市長選や同市議選、県知事選、さらに衆院選でも移設反対派が勝利し、翁長知事は「オール沖縄」で反対闘争を展開してきた。

 これに地元で風穴が開いたわけだから、「この勝利は大きい」と安倍晋三首相が述べたように移設へ向け絶好の追い風になる。

 翁長氏は新人候補と二人三脚で「民意は示されている」と辺野古阻止を訴えてきた。対する現職陣営は、夏の参院選と並ぶ重要選挙に位置付けた安倍政権の手厚い選挙態勢で票固めに奔走した。予想を上回る5800票余りの大差。果たして、政権の思惑通り辺野古移設推進へと潮目が変わったのだろうか。

 冷静にとらえれば「沖縄問題」は何も前進してはいない。そうみえる。現職が訴えたのは、あくまで普天間の早期閉鎖だ。辺野古移設に関しては争点化を避けて、是非の見解は一度も示さなかった。市民が世界一危険とされる普天間の確実な返還を望むのは当然だ。だからといって、辺野古沿岸に移設を押し付けたわけではない。そこに「沖縄のジレンマ」がある。

 日米両政府が飛行場の全面返還で合意してから4月で20年。当初の合意案には辺野古移設は含まれていない。政府は安全保障政策上の「抑止力」を強調するが、国際政治学者で元防衛相の森本敏氏は「軍事的には沖縄でなくてもいい」と述べている。沖縄にこだわらない意見は米国の軍事専門家らの間にもある。

 普天間の危険性除去は新人候補も訴えたが、県土から基地が撤退しない限り、政府が強調するような基地負担の軽減にはならない。

 辺野古移設問題は今、国と県が訴え合う法廷闘争へと泥沼化している。「辺野古移設反対は変わらない」というのが翁長知事の立場。国家権力が地方自治の精神を一顧だにせず移設工事を強行すれば、対立は深刻化するばかりだ。政府はディズニーリゾート誘致後押しや移設先の地域振興費といった懐柔策で計画促進の環境整備を図っている。

 沖縄県の地元紙などが市長選を前に実施した世論調査では、県外・国外移設や無条件の閉鎖撤去を望む声が70%強に上り、辺野古移設支持は10%台にすぎなかった。共同通信社の出口調査でも56%が辺野古移設に「反対」と答えた。安倍政権は、民意を分断してまで「この国を守る」と叫び続けるのだろうか。

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