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「共謀罪」本格審議 こんな説明で納得できない

(2017年4月21日午前7時30分)

 【論説】犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が実質審議入りした。テロ対策を強調する政府、与党に対し、野党は「国民への監視が強まり社会が萎縮する」と過度な公権力行使を警戒し、廃案を求める。与党側は6月18日の会期内成立を目指すが、過去3度も廃案になった法案だ。国民が納得できるか、十分な審議を重ねるべきだ。

 安倍晋三首相は「東京五輪・パラリンピックを控え、テロ対策は喫緊の課題だ」と強調。国際社会との捜査協力が可能となる国際組織犯罪防止条約の締結に法案は不可欠と訴えた。

 五輪だけのテロ対策ではないが、世紀の祭典の成功を願う国民の心に響く。共同通信の世論調査では組織犯罪処罰法改正案に賛成が38・8%、反対は40・0%と拮抗(きっこう)している。

 だが、19日の衆院法務委員会での審議にはあぜんとするばかりだった。これまで不安定な答弁を繰り返してきた金田勝年法相を差し置き、官僚が前面に出た。

 鈴木淳司委員長(自民)は林真琴・法務省刑事局長の出席を起立採決で決めてしまったのだ。専門性が要求される法案だが、明らかに「法相隠し」ではないか。「基本的なことは大臣が答弁すべきだ」と反発した民進、共産両党の言い分はもっともである。

 政府参考人の出席は委員会の全会一致で決めるのが慣例だ。これまでの国会論戦で論点が積み上がる中、法相は「成案を得てから説明する」と詳しい答弁を避けてきた。今国会最大の対決法案である質疑に耐えられない法相なら、速やかに辞任すべきであろう。

 犯罪を計画段階で処罰する共謀罪は「内心の自由」を侵す懸念があり、「市民団体や労組も対象になる」と反発を招いた。今法案は「共謀」の2文字を削り、適用対象として「組織的犯罪集団」を明記した。

 さらに、下見などの「実行準備行為」がないと処罰されないともしている。しかし、何をもって準備行為とするのか、一般の人は対象にならないとするが、犯罪者も一般人ではないのか。捜査機関の恣意(しい)的運用と監視強化につながるとの懸念は消えない。

 政府は適用対象や捜査、処罰の構成要件も厳格化しており、共謀罪とは「全くの別物」と説明する。だが林局長は「限定した適用対象の範囲は同じ」と説明している。つまり本質は変わらないということだ。

 676から277に絞った法案は▽テロの実行▽薬物▽人身に関する搾取▽その他資金源▽司法妨害と5分類されているが、テロ実行以外が6割にも及ぶ。しかも墳墓発掘死体損壊や保安林での森林窃盗、著作権等の侵害など、関係性が不明な項目が多すぎ、野党追及の的になっている。

 金田法相は審議の中でこう述べた。「実務に詳しい責任者が答弁を重ねるということが非常に重要なんであります」。法相も分からない法案をこのまま通すことはできない。

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