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天皇退位国会見解 「女性宮家」の議論深めよ

(2017年3月20日午前7時30分)

 【論説】天皇陛下の退位に向けて衆参両院の正副議長は各党派の全体会議を開き、陛下一代限りの特例法制定を柱とする国会見解を正式決定した。皇室典範改正による退位の恒久制度化を主張していた民進党も、典範付則に書き込むことで妥協。「天皇の地位は、主権の存する国民の総意に基づく」という憲法規定に何とか体裁を整えた形だ。

 特例法には退位する日付を条文に入れず別途、政令で定める方向である。今国会中に制定の見通しだが、安定的な皇位継承という大命題は先行き不透明だ。国民の意思をくみ取り、国会論議を尽くす必要がある。

 合意形成で焦点となったのは法整備に関する与野党間の隔たりだった。見解は特例法を主張する与党と、典範改正を訴える民進党の双方に配慮した折衷案を自民党側が導き出した。典範付則に特例法と典範の関係を示す規定を置くと明示し、双方を「一体」と位置付ける。付則の新設は「典範改正」との落としどころなのだろう。

 これは、典範の定めにより皇位を継承すると規定した憲法に違反するとの疑義を解消し、将来の天皇が退位する際の先例とする狙いがある。また「退位は例外的措置」として与党にも配慮している。限られた時間の中で「総意」形成への努力は理解できるが、本来はしっかり皇室典範に書き込むことが「国民統合の象徴」を位置付けた憲法精神に沿うものではないか。

 見解では、陛下による昨年8月のビデオメッセージに関する国民の受け止め方や、陛下が公務などに困難を感じている状況なども特例法に書き込むという。

 こうした法形式を取るのは、将来の天皇が恣意(しい)的な退位や強制的退位になることを防ぐためだ。だが、本当に歯止めになるのか、特例法の位置付けはあくまで恒久法ではなく、政府、与党の小手先感が拭えない。

 さらに「女性宮家」創設にも言及、法施行後に政府が速やかに検討するよう促した。これも民進党への配慮だが、期限は各党派で協議し採決時の付帯決議に盛り込むよう努力するとして明記していない。進展の保証はなく、皇位継承の安定化という重要課題を先送りしてどうするのか。

 女性宮家については、2012年に当時の民主党野田政権が論点整理を公表したが、政権交代で立ち消えになった。安倍晋三首相は女性宮家に否定的で、自民党内にも慎重論が根強い。「女性・女系天皇につながる」との警戒感からだ。

 歴史上、10代8人の女性天皇が存在したとされるが、「中天皇」と呼ばれ「女系天皇」ではなく中継ぎとしての践祚(せんそ)とされる。

 自民党にとっては、女性宮家の議論を容認しただけでも大きな譲歩だろう。ただ、宮家創設や女性・女系天皇容認の是非について議論を望む意見は共同通信社の世論調査で8割に及ぶ。人口急減とともに、皇族の減少は深刻な問題だ。国の将来を見据え、象徴天皇のあり方を柔軟に考えていくべき時代ではないか。

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