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韓国大統領罷免 民主化30年、真価問われる

(2017年3月13日午前7時30分)

 【論説】韓国憲法裁判所は国会で弾劾訴追された朴槿恵(パククネ)大統領を罷免する決定を言い渡し、朴氏は即時失職した。韓国憲政史上初めての異例の事態となった。出直し大統領選は60日以内に行われ、5月初めの実施が有力視される。名乗りを上げる大統領選候補者らは「国民の統合」を公約に掲げるとみられるが、保守、革新の理念対立は根深く、国民が望む政治の安定は大統領選後も容易ではない。民主化30年の成熟ぶりと真価が問われる。

 朴氏は親友である崔順実(チェスンシル)被告を中心に個人的な人脈を使い国家システムを私物化した。国民は民主主義体制が傷つけられたことに憤り、憲法裁判所は「国民の信任を裏切った。憲法を守る上で重大な違反行為」と断罪、朴氏の任期全うを許さなかった。不起訴特権を失い逮捕、起訴される可能性がある。有罪なら懲役10年以上の重刑もあり得る。

 韓国では昨秋来、週末ごとに大規模な市民による退陣要求デモが開かれてきた。北朝鮮が背後で操っているかのように受け止めた朴氏は民意を完全に読み誤った。法治国家の指導者として致命的だった。

 韓国の憲法裁は一般の裁判所とは別に設置され、国家の崩壊につながるような事態を防止するのが最大の目的だ。今回の罷免判断にも混乱する政治や社会を回復させる意図が含まれる。

 政経癒着や縁故人事、政権中枢の利権享受などの悪弊は過去の政権でも常に付きまとってきた。罷免とともに今回はサムスングループのトップ逮捕という劇的なプロセスもあり、社会の変革に国民の期待が高まっているのは確かだ。

 だが、朴氏支持派の保守層からは罷免に反対する声が高かった。財界もサムスントップの逮捕に不満を募らせており、国論分裂の危険性は残されている。

 次期大統領選は韓国の政治風土をあらためて問い直す契機となる。先鋭化している保守・革新の対立緩和は候補者に重くのし掛かってくるだろう。多くの国民が抱える格差社会への不満をどう是正するか、政治的資質も問われる。

 今のところ野党に有利な状況で、革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)前代表が支持率トップだが、従軍慰安婦問題について日韓合意に否定的な立場の候補者である。日本政府は次期政権の動向を注視しする必要があろう。

 米国、中国にとっても韓国民の選択は今後の地域情勢を左右する重みを持つ。核とミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応、地域秩序の迷走を効果的に食い止める協調的なリーダーシップの登場が望まれる。

 慰安婦問題の合意履行を巡り、駐韓大使が一時帰国して2カ月が経過した。約束が守られなければ日韓関係は前途多難だが、次期政権とのパイプづくりを強めるためにも大使の帰任を検討する時期ではないか。

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