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北朝鮮ミサイル4発 新たな脅威、戦略見極めよ

(2017年3月7日午前7時30分)

 【論説】北朝鮮がまたも弾道ミサイルを発射した。計4発同時発射し、秋田県男鹿半島沖約300〜350キロの日本海上に落下。3発が日本の主権的権利が及ぶ排他的経済水域(EEZ)内で、残る1発もEEZ付近だった。国連安全保障理事会決議への明確な違反、新たな直接的脅威である。向上する実践運用能力。日本はミサイル防衛システムの強化と北朝鮮の軍事情報を収集分析し、素早く対応できる能力を高めるべきだ。

 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は1月1日の「新年の辞」で大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の準備が「最終段階」に入ったと表明した。2月12日には新型中距離弾道ミサイルを発射。まるで日米首脳会談を狙い撃ちしたかのようなタイミングで、射程は日本全土がすっぽり入る2千キロ以上。核・ミサイルの脅威は増すばかりだ。

 北朝鮮の究極の目的は米国本土に向けたICBMの開発であろう。日本政府は今回の発射も新型ミサイルやICBM技術を試した可能性があると分析する。

 北朝鮮は昨年20発を超える弾道ミサイルを発射。8月には初めて今回とほぼ同じ水域のEEZ内に、9月には3発が北海道沖のEEZ内に落下している。

 問題は今度も日米韓が事前の兆候をつかめなかったとされることだ。発射準備の動きが把握されにくい固体燃料が使われたとみられる。不意打ち的な発射へ備えを強化する必要がある。

 今回の動きはトランプ米政権との交渉をにらんだ挑発とみられる。特に米韓両軍が1日に始めた合同野外機動訓練に反発した強硬対応だろう。韓国報道によれば、訓練には在日米軍のF35最新鋭ステルス戦闘機も参加しているという。であるなら米軍が駐留する日本へのけん制ともなる。

 今月半ばにはティラーソン米国務長官が日中韓を歴訪する。トランプ大統領は北朝鮮に対する軍事的選択肢も排除しないとしており「対話か衝突か」の決断を迫る北朝鮮の狙いが一層先鋭化する状況にある。

 また、北朝鮮の組織的関与が疑われる金正男(キムジョンナム)氏殺害事件で国際的な非難が高まっており、注目をそらし局面転換を図ろうとした可能性もある。いずれにせよ、こうした軍事的行為は平和を脅かす愚劣な手法だ。東アジア・太平洋地域の緊張感を高めたところで、得るものは何もない。

 北朝鮮に対する圧力強化へ安保理決議をいかに実効性あるものにするか。最も影響力があるのは中国だが制裁履行への動きは鈍い。

 北朝鮮の相手は米国だ。オバマ前米政権は「戦略的忍耐」という形で、北朝鮮の核・ミサイル開発を事実上放置していた。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領も今や政治スキャンダルで機能不全に陥っている。日米韓が新たな戦略をどう構築できるかだ。

 特に拉致問題を抱える日本は、柔軟で高度な交渉術が求められる。だが、北朝鮮や中国の軍事的脅威を防衛力強化の絶好の根拠にしている安倍政権では進展が困難と言わざるを得ない。

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