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北朝鮮リスク 日本は「近隣外交」不足だ

(2017年2月16日午前7時30分)

 【論説】北朝鮮が新型の中距離弾道ミサイル「北極星2」を発射。日米首脳会談を狙い撃ちするかのようなタイミングだった。韓国情報機関によると射程は2千キロ以上。日本全土がすっぽり入る。単なる挑発行為にとどまらず、核・ミサイルの脅威は増すばかりだ。

 一方で、北朝鮮の故金正日(キムジョンイル)総書記の長男で、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏がマレーシアで死亡。韓国政府は、北朝鮮工作員とみられる女性2人により毒殺されたことが「確実視される」とした。国内統治の面でも強硬路線を突き進む金正恩体制に厳しい監視の目を向け、警戒を強める必要がある。

 今回のミサイル発射は昨年10月以来。日米首脳会談で同盟強化や北朝鮮に核・ミサイル計画の放棄を要求する共同声明を発表した翌日である。大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験準備が「最終段階」とする北朝鮮側にとって、本気で開発を進め、着実な性能の向上をアピールする絶好の機会だったといえる。

 国連安全保障理事会は制裁決議の「重大な違反」と強く非難する報道声明をいち早く発表した。「日朝平壌宣言」(2002年)にも反するもので、ミサイル発射から間を置かず日米両首脳がそろって会見し、国際社会に結束を見せた意味合いは大きい。

 だが、安保理声明には北朝鮮の最大の貿易相手国である中国やロシアも賛同したとはいえ、内容は過去の非難声明と同じ表現だ。制裁の強化につながるか疑問が残る。それに6カ国協議も機能していない。

 米国にとっては発射されたミサイルの射程に米領グアムも入り得るため、現実の脅威となる。最終目標が米本土とされる中で、トランプ大統領は「断固とした措置を取る」と強調した。だがトランプ政権は拠出金削減など国連関与の大幅見直しを図る可能性もあり、軍事圧力か制裁強化か、具体策は全く見えてこない。

 日本にしても旧来型の中距離「ノドン(射程1300キロ)」をしのぐ新型ミサイルは、これまで以上の脅威となる。政府はミサイル防衛網の強化を急ぐが、昨年のノドン連続発射同様に具体的な兆候をつかめなかったのが現状だ。

 こんな北朝鮮の挑発に乗らず、制裁を強めながらも対話の道を開く不断の外交努力を求めたい。とりわけ困難な拉致解決の道は対話によって開くしかない。

 不穏な動きの中だけに、金正男氏の「殺害」は驚愕(きょうがく)すべき事件だ。長年、海外生活を続け、現体制に影響力はないものの、かつての後継者候補だった。正恩氏の偶像化の障害を取り除くための暗殺との見方もある。「東方の核強国、軍事強国」を一段と強める金体制の動きは、国際平和の大きなリスクである。

 予測の困難性はトランプ米政権以上だ。特異な東アジアの「暗部」に、日米韓はあらゆる事態を想定し、綿密な連携と警戒強化が不可欠となる。さらに、日本は鍵を握る中国と正面から向き合うべきであろう。

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