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無電柱化推進法 社会に絶大なプラス効果

(2017年1月17日午前7時30分)

 【論説】街に林立する電柱の数約3500万本。日本は世界で類を見ない「電柱大国」といわれる。電線類の地中化で電柱をなくし、道路をさまざまに使いやすくする「無電柱化推進法」が昨年末に成立、施行された。外国人観光客に人気の先進国として、景観上も防災上も有効な無電柱化の流れに弾みをつけたい。

 NPO法人「電線のない街づくり支援ネットワーク」によると、電柱は1都道府県あたり72万本あり、現在も1日約300本、年間約11万本が増え続けている。電線の地中化率はまだ2%。ロンドン、パリは戦前から100%。アジアでは香港100%、ソウル46%と日本の遅れが際立つ。

 無電柱化が社会にもたらすプラス効果は大きい。街全体にすっきり感が生まれ景観が向上、街づくりに自由度をもたらすことが可能だ。資産価値に好影響を与えるとの研究結果もある。使える道路幅が広がり、車いすや障害者も通りやすいバリアフリーに貢献。電柱による死角、犯罪者の侵入経路もなくなり防犯効果を上げる。電磁波の影響も軽減されるだろう。

 世界遺産ばやりだ。歴史と伝統文化豊かな日本の町並みが無電柱化で一層の魅力を増せば、2千万人を超え急伸する外国人観光客も失望することがなくなる。

 そして一番の利点は防災に役立つことだ。電柱がなかったら随分と助かるケースが出るのではないか。地震や台風など大規模な自然災害では、電柱の倒壊が家屋や人命を脅かす凶器と化す。道路は通行不能となり救急・消防車や生活物資の運搬も拒まれ、ライフラインの断絶にもつながる。

 1995年の阪神大震災では電力・通信用で8000本以上、2011年の東日本大震災は5万6000本倒壊。03年の台風14号は宮古島市で800本倒し、13年に関東各地を襲った竜巻は越谷市で46本。いずれも道路を遮断した(無電柱化民間プロジェクト)。

 無電柱化の盛り上がりは2020年の東京五輪・パラリンピックがきっかけの一つになっている。都は14年度に競技会場集中地域の無電柱化を完了させる計画を策定。国会議員時代から無電柱化に取り組んできた小池百合子都知事も推進に積極的である。首都からの波及効果が期待できる。

 最大の障壁は地中化にかかるコスト。政府、自治体、電力、通信事業者で分担する電線を共同溝に集約する工費は、1キロメートル当たり約5億3千万円。電柱の10〜20倍以上といわれる。

 国土交通省は低コスト工法の実証試験で、1キロメートル8千万円に縮小できる試算を示している。民間でも開発競争が進み、コスト問題に道筋は見えてきた。事業者には税の優遇措置もある。政府はさらに無電柱化の支援拡充に知恵を絞ってほしい。自治体、企業、住民もそれぞれの役割を果たすことで加速するだろう。

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