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福井鉄道200形電車 保存、活用すべき文化財だ

(2016年10月14日午前7時30分)

 【論説】福井鉄道福武線の200形電車の引退が迫る中、歴史、文化的に貴重な車両として保存を求める機運が高まっている。観光資源としての活用も期待され、どういう形での保存が望ましいのか、知恵を絞りたい。

 200形は1960〜62年に3編成が製造された。新型低床車両「フクラム」の導入などに伴い、今春までに201号、202号が引退し、解体された。休車となっている203号は、本年度中に定期検査を受ける予定だが、その後の扱いは未定だ。

 鉄道友の会福井支部と住民グループ「北府駅を愛する会」(越前市)では、保存を求める3193人分の署名を集め、7月に奈良俊幸市長に提出している。

 200形は、福井鉄道が自社発注したオリジナル車両。鉄道友の会によると、登場当時はスタイル、性能など全国最先端、最高水準の車両だった。

 正面の少し傾斜した2枚の窓は「湘南型」という独特のデザインをしている。構造も珍しい。車輪を包み車体を支える台車は1両当たり前後に二個あるのが一般的だが、200形は2両の間に台車があり、1編成(2両)を3個で支えている。さらに、各ドアに折り畳み式のステップが付いているのも、全国的にほとんど例がないという。

 昭和30年代には全国の地方私鉄で多様な電車が製造されたが、今はほとんど姿を消してしまった。友の会福井支部の岸本雅行支部長は「200形は交通博物館に展示されても不思議でないほどの価値があり、鉄道文化財といえるほど貴重」と評価する。

 保存に向けては越前市、福井鉄道とも前向きな姿勢を示している。市は、駅舎が国の登録有形文化財になっている北府駅周辺を鉄道ミュージアムとし、まちなか観光の北の玄関口にする構想を描いている。200形を保存、展示することで、大正時代の面影を残す駅舎と合わせ、鉄道ファンや観光客にアピールしたい考えだ。

 北府駅では、住民グループなどが駅を核に定期的にイベントを開いたり、美化活動に取り組んだりしている。全国では蒸気機関車(SL)などを保存しても放置され廃車になるケースが増えており、鉄道に愛着をもつ住民がいる同駅での保存は最も望ましい形といえよう。さらに奈良市長は「単に保存するだけでなく、イベントなどで少しでも動かすことができれば」と期待を口にする。

 ただ、保存には車両を保護する建物が必要で、少しでも動かすとなるとメンテナンスなどに多額の費用がかかる。市は今夏、県への重要要望(重要事項)に車両の保存と活用に対する支援を挙げた。半世紀にわたり県民の足として活躍し、親しまれてきた貴重な車両。観光資源としての再生も視野に、よりよい保存の道を探りたい。

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