福井県の総合ニュースサイト


全国の速報

福井のニュース  経済

経験武器に「シニア起業」広がる 創業セミナーに申し込みが殺到

(2017年3月1日午後5時10分)

拡大 技術に関するコンサルティングを手掛ける川本さん。研究成果を生かした製品開発も進めている 技術に関するコンサルティングを手掛ける川本さん。研究成果を生かした製品開発も進めている


拡大 福井県産業情報センタービル内の事務所で仕事に打ち込む定池さん 福井県産業情報センタービル内の事務所で仕事に打ち込む定池さん


 定年などで退職した後に事業を立ち上げる「シニア起業」が福井県内でも徐々に広がっている。現役時代の経験や人脈を生かしたコンサルティング、システム販売などで実績を上げる例が出ている。ふくい産業支援センターが昨年開いたシニア向け創業セミナーには申し込みが殺到し、関心の高さをうかがわせている。

 元福井高専電気電子工学科教授の川本昴さん(65)は昨年3月に同校を退職、翌4月に技術に関するコンサルティングを手掛ける「ナノ・ブレイン」を立ち上げた。

 教授時代の専門分野は電気電子工学や電気化学、生物工学などで、脳外科手術の安全性を高めるのに役立つ脳波電極の開発などに取り組んできた。さまざまな特許を取得しており、電気学会で高度な技術力・専門性を有する会員に与えられる「IEEJプロフェッショナル」などの認証も持つ。新会社では知見を生かし、研究開発のコンサルティングのほか、企業などと協力した新技術開発、教材開発などに取り組んでいる。

 教授時代は大手企業と共同で研究することが多かったが、人手や資金などの問題で新たな技術開発に行き詰まっている中小企業の役に立ちたいという思いがあったという。起業後、県内外の企業から、製品の質の向上や新製品開発、生産性向上に関する依頼が寄せられ、特許取得につながる動きもあるという。

 1年目は赤字にならない程度の売り上げが得られる見込み。「健康には自信があるので、できる限り続けたい」と意欲を見せている。

   ■■   ■■

 「年金をもらって、ただ漫然と生活するだけじゃ寂しい」。生き生きと取引先との商談に汗を流すのは、定池秀雄さん(65)。長年勤めた福井コンピュータ(現福井コンピュータホールディングス、本社福井市)を8年前に退職し、牛乳宅配店向けに、顧客管理や代金請求、データ分析ができるウェブ宅配システムを売り込んでいる。

 定池さんは2009年に「福井コミュニケーションサービス」を起業し、社員2人とともに同システムの販売を始めた。現役時代の人脈などを生かし全国各地に販路を広げ、ピーク時は年間約1600万円の売り上げがあった。しかし、不具合が起きた際はサポート業務で顧客のもとへ出張しなければならず、次第に業務が追いつかなくなり、昨年6月にいったん清算した。

 システム開発に詳しい知人の支援を受け、顧客のパソコンを遠隔操作できるようシステムを改善。同7月から「福井コミュニケーション」として新たにスタートを切った。顧客のもとへ出向かなくても納品やサポート業務が可能になり、負担は和らいだという。再出発後に10件ほどの契約があり、大手企業も関心を持っているという。

 現在は個人事業主で、軌道に乗った段階で法人格を取得する方針という。これから起業を目指す人に「60歳を過ぎているからといって、取引先は甘くみてくれない。めげずに頑張ることが大事。ただ、無理はしすぎないように」と定池さん。自身の経験を踏まえ、エールを送った。

 ■国や県が創業補助 専門家「仲間づくりを」

 ふくい産業支援センターが昨年11月に開いたシニア向け起業セミナーには、定員20人に対し51人の申し込みがあった。コインパーキング運営などの日本システムバンク(本社福井市)を59歳で設立した野坂弦司氏らが、実体験を交えて起業の心構えなどを話した。同センターは「予想以上の反響で驚いた。シニア向けの相談に力を入れていきたい」と話す。

 同センターでは一定の条件を満たす創業者に、200万円を上限に3分の2を補助する事業がある。経営者やコンサルタントによる創業相談も受け付けているほか、県産業情報センタービル(坂井市丸岡町熊堂)で安価に事務所スペースを提供している。1月1日時点で29人が入居している。

 国などもさまざまな支援策を展開している。日本政策金融公庫は55歳以上を対象に、最大7200万円(うち運転資金4800万円)を融資するなどのメニューがあり、中小企業庁は創業補助金を交付している。

 ただ、シニア起業については注意点もある。起業や新規事業支援で多くの実績があるエクサネット(埼玉県)の松延健児社長は「これまでの肩書は通用しない。謙虚さが失敗しない秘けつ」と強調する。起業直後は1人で仕事をする場合が多いことから、「相談し合える仲間をつくることも必要。福井にもシニア起業家を結ぶネットワークがあれば、起業が広がるのではないか」と指摘している。

 

 

》越前がにのニュース、旅館、食べ方など情報満載「かにカニ福井」

福井のジャンル

福井新聞ご購読のお申し込み D刊お申し込み

ニュースランキング

弔電サービス「わたっくす」

ぷりん

福井新聞文化センター 風の森倶楽部


[ スマホ版はこちら ]

〒910-8552 福井県福井市大和田2丁目801番地

TEL:0776-57-5111

本ページに掲載の記事・写真などの一切の無断掲載を禁じます。