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「命綱」非常用電源を過信 複合災害原発安全は(上)

(2011年7月10日午後2時10分)

拡大 関西電力の電源確保対策 関西電力の電源確保対策


 福島第1原発事故から11日で4カ月。いまだ収束しない「レベル7」の最悪事故は、県内原発の安全性にも課題を突き付けている。事故後の安全対策に死角はないのか。緊急時の電源や冷却機能の確保、津波対策、耐震性、国の規制体制など県内原発をめぐる現状と課題に迫る。

 マグニチュード9の巨大地震で鉄塔がなぎ倒され、変電所も損壊。外部から東京電力福島第1原発への電力供給は途絶えた。

 やがて押し寄せる大津波は、外部電源を失った場合に稼働するはずの非常用ディーゼル発電機をのみ込んだ。同原発1〜6号機に配備された13台は1台を除いて停止。緊急炉心冷却装置(ECCS)を動かそうにも、肝心の電源がほぼ全て失われてしまった。

 複合災害により、地震発生から1時間足らずで陥った「全交流電源喪失」。国内最悪の原発災害へと至る、悪夢の始まりだった。

 万一の際に命綱となる非常用発電機の壊滅は、電力関係者には衝撃的だった。1979年の米スリーマイルアイランド原発事故を受け実施した過酷事故対策でも想定していなかったからだ。

 「全電源喪失はまず起きないと思っていたのがそもそもの間違い」と福井大附属国際原子力工学研究所の竹田敏一所長。“安全神話”に立脚した対策の不備を指摘する。

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 原子力安全委員会が90年に示した安全設計審査指針は「長期間の全交流電源喪失は考慮する必要がない」としている。国の基準自体が甘かった。背景には「日本の電力網は非常に頑丈にできているので、あえて想定する必要がなかった」(松浦祥次郎元原子力安全委員長)との過信があった。

 「指針は、単一の原因で一つの機器が壊れることしか想定していない。共通要因故障という考え方は無視されてきた」と語るのは原子力資料情報室の伴英幸共同代表。同じ装置が複数あってもだめで、電源の備えには多重性だけでなく多様性も必要だとする。

 国の指示を受け、電力各社はバックアップ電源を充実。関西電力は11基の県内原発に計32台の電源車を配備した。ただ、これだけではプラントの監視機能を働かす電力しかなく、ECCSを作動させて原子炉を冷温停止するには不十分。9月までに空冷式ディーゼル発電機計21台を各原発の高台に置く計画で、中長期的には非常用発電機を追加設置する。

 外部電源の確保に課題を残すプラントもある。日本原電敦賀2号機の送電回線は2系統とも同一の変電所に連係しているため、変電所や鉄塔が損壊すれば早期復旧は困難。原電は2013年度までに北陸電力からの送電線に接続する方針だ。

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 事故後に打ち出された対策で電源は確保されるのか。京都大原子炉実験所の宇根崎博信教授(原子力工学)は「長期間の全電源喪失を防げると技術的にはいえる。最低限は確保できる」と評価する。ただ、各対策でどんなリスクを軽減できるのか、国による体系的な説明がないと問題視する。

 一方、伴氏は「保安院が指示した対策で本当に済むのか。電源車を増やせばいいという問題ではない」と懐疑的。対症療法でなく、原発ごとに厳しく安全性をチェックすべきだと訴える。

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