東京電力福島第1原発で放射性物質が大気中に放出されるという事態を受け、福井県内の薬局で甲状腺被ばくを防ぐヨウ素剤を買い求める動きが出ている。ただ、入手可能な在庫がほとんどないと同時に「県内はヨウ素剤を服用するような危険な状況にない」として、県や県薬剤師会などは冷静な対応を呼び掛けている。
県薬剤師会は、県内で放射性物質の危険性がほとんどないことを強調した上で「万一の場合でもヨウ素剤が手に入らないからといって、ヨードチンキやうがい薬を服用するようなことは決してしないで」と注意を呼び掛けている。
1995年の高速増殖炉もんじゅ事故を機にヨウ素剤を取り扱っている福井市光陽3丁目のみどり薬局には、福島第1原発の異常が報じられた12日以降全国から問い合わせが相次いだ。
石川県から訪れる客もいて、約300錠あった「ヨウ化カリウム丸」は15日午前までに売り切れた。買い求めた人は「被災地の知人のもとへ行かなければならないので念のため」などと話していたという。
敦賀市和久野のあわの薬局でも12日から来店者が急増し、400錠あったヨウ素剤は14日までに売り切れた。
一方、県は県内の原発事故などに備え、約8万人分のヨウ素剤を確保している。今回の福島県内の事故で同県から要請があれば一定量を送る。
ヨウ素剤は甲状腺腫や慢性気管支炎に効果がある薬として流通している。副作用があるため、販売した薬局などは「薬剤師がしっかり説明している。被ばく直前に飲まないと効果が少ないので、国の迅速で正確な情報提供が大事」としている。
県薬剤師会によると、一般の薬局で販売が可能だが、普段は需要が極めて少ないため取り扱う薬局は県内にはほとんどないという。