【越山若水】「せかせかした国民性」。この言葉で浮かんだ国はどこだろう。日本を連想する人が多いのでは▼幕末に来日したオランダの海軍軍人カッテンディーケの印象は違った。時間を守らぬ仕事ぶりにうんざりし、「日本人の悠長さはあきれるくらいだ」と日記で愚痴っている▼当時の日本は昼と夜をそれぞれ6等分する不定時法での暮らし。時間の長さは季節で違う。時間厳守と言われても「まあ慌てなさんな」だったのかも▼日本人が時間にやかましくなったのは、工場や鉄道、学校など近代的制度が整った明治になってからだ(「遅刻の誕生」橋本毅彦氏ら編著)。それから百数十年余りがたち、今度はあきれる番が来た。時間を守らないのを流儀にする政治家に…▼重要会談でも遅刻するのは当たり前。過去には英女王やローマ法王をも待たせた。先日の安倍首相との会談には2時間半も遅れた。プーチン大統領である▼自身の優位を示す駆け引き説がある。でも軍関係の会議や中国首脳との会談は遅れないとか。とすると誰に頭が上がらないか丸わかりの気もする▼対する安倍首相もプーチン氏を待たせたことがある。そのとき首相はダッシュで会見場所に現れた。「慌てなさんな」と言っておけばよかったのに―と言いたくもなるが、遅刻した日本人の態度としては仕方のないことだろう。不定時法は、今は昔である。

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