【論説】地球温暖化対策で、企業や自治体、市民など「非国家」の活動が存在感を増している。米国で開かれている国際会議「気候行動サミット」には世界から約4千人が結集した。日本で相次ぐ大雪や台風、大雨、米国を襲っている大型ハリケーンなど、温暖化の影響が考えられる災害は世界で頻発している。脱炭素化へ社会を変えていく力強い動きとして、多様な立場の人たちの取り組みに注目したい。

 2015年12月に採択された国際的枠組み「パリ協定」は、産業革命以前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に、可能なら「1・5度未満」に抑えることを目的とし、温室効果ガスの削減目標作成を参加国に義務づけた。

 ただ、タイで9月上旬、パリ協定の実施ルールを議論した国連気候変動枠組み条約の特別作業部会は、対策資金を巡る途上国側と先進国側の対立など、多くの論点を積み残したまま閉幕した。12月の交渉期限を控えて、国レベルの動きは足踏みしている。

 日本は、30年度に13年度比で26・0%(05年度比では25・4%)の温室効果ガス削減目標を設定。実現に向けて地球温暖化対策計画もまとめている。しかし計画は具体施策に乏しく、対策の道筋が示されるのはまだこれから。目標の高さに比べ取り組みは遅れているのが現状だ。

 こうした中でサミットが開催されたのは、国主導の取り組みに任せたままでは問題が前進しないという危機感を、世界の多くの人が共有したからだ。

 米国は、同枠組み条約加盟国(197カ国・機関)のうち唯一、パリ協定離脱を表明している国だが、非国家による活動は活発だ。昨年6月にトランプ大統領が離脱を表明した直後、企業や自治体、大学などが異を唱えて立ち上げた組織は裾野を拡大。参加団体合計の経済規模、人口は同国の半数を超すという。

 日本からは、企業や自治体、NPOなどでつくる非国家のネットワーク「気候変動イニシアティブ(JCI)」がサミットに出席した。JCIは今年7月に発足。21自治体や140以上の企業など、参加組織はすでに200を超えている。「2度未満」実現に向けて科学的目標を設定する国際活動や、事業運営をすべて再生可能エネルギーで賄うことなど先進的取り組みを進める組織もある。

 気候変動対策に前向きな企業には、それを負担と考えず、成長・発展の機会と捉える見方がある。対策を進めることで企業価値が向上し、投資を呼び込めるとみているのだ。

 JCI関係者は現地の記者会見で「ビジネスの中で脱炭素化の動きをひしひしと感じる」と述べた。日本での動きはまだ大企業が中心だが、さらなる広がりを望みたい。

 国が目標を掲げても、非国家の活動が伴わなければ達成できない。その意味で非国家は温暖化対策の主役である。多様な活動主体の連携によって、実効性を向上させたい。

関連記事