愛媛県・鬼北町の道の駅「森の三角ぼうし」に建つ「鬼王丸」。肩には特産のキジをのせている。写真提供/鬼北町役場

 先月から第9回目となる『ゆるキャラグランプリ』の投票が始まった。そんな中、「もはや、ゆるキャラという概念さえも揺るがしている」「子供がギャン泣きしちゃう奴がエントリーしてる件」とSNS上をザワつかせているのが愛媛県の赤鬼「鬼王丸(おにおうまる)」だ。むき出しの牙に長い角、筋骨隆々の肉体。まったくもって“ゆるくない”風貌ながら、同大会に堂々エントリーしている。そこで、「鬼王丸」が所属する愛媛県鬼北町「森の三角ぼうし」に参戦理由についてコメントを求めたところ、予想の斜め上をいく回答を連発。まさに“ゆるキャラ界”の王道にして原点(?)とも言えるべき、“迷”キャラだったことが判明した。

【写真】鬼王丸の母!ラムちゃん似の海洋堂作「柚鬼媛」他、じんわりくる鬼王丸ポスターも

■「本人が“ゆるい”と言っているので…」 自称ゆるキャラの鬼王丸

「鬼王丸」は2015年に愛媛県鬼北町で誕生した。造形作家・竹谷隆之と世界的フィギュアメーカー海洋堂による全長5mの巨大モニュメントが道の駅「森の三角ぼうし」に設置され、当時、フィギュアファンを中心に大きな話題となった。そんな“ゆるさ”とは対極にある“神キャラ”が、なぜ『ゆるキャラグランプリ』エントリーとなったのだろうか?

「みなさん、口をそろえて“どこがゆるキャラだ!”と言われますね。本人もそれに返答するのが面倒になっているようですが、お腹や発言、その他にもいろいろ隠れたゆるい部分があります。ただそれ以上に一番は、本人が“ゆるい”と言っているので、それでいいと思っています」(森の三角ぼうし代表取締役社長・松本周作さん。以下同)

 どうやら“ゆるくない”ことへの指摘は御法度のようで、『ゆるキャラグランプリ』の投票を呼び掛けるポスターにも”わしがゆるいって言ってるんだから、ゆるキャラでええやろ?”とビジュアルに対する疑問を牽制するメッセージが添えられている。ただし、最近では発言のゆるさに拍車がかかっているそうで、「お金ですむことなら…」が口癖になっているという。

■7億円を呼んだ鬼力 ラムちゃん似の母鬼が唯一気にするものは…

「昨年、彼の鬼力で“道の駅”で販売している宝くじの中に1等5億円1本と、その前後賞1億円2本がでました。おかげで鬼王丸詣が増え、それにともないお賽銭も…」

 7億円を呼ぶ鬼力、恐るべし…。先の口癖も納得だが、それにしても気になるのはエントリーに対する周囲の反応だ。遠方からも観光客が訪れる“神キャラ”だけに、“ゆるいマスコットキャラクター”という位置づけはイメージを損ないかねない。

「彼ももう数百年生きている立派な大人ですから、プライベートな事は彼自身に任せてもおります。何卒その件に関しては温かい気持ちで見守ってあげてください」

 参加は本人の意志で決定し、エントリーはいたってスムーズに運んだと松本さん。どんなポジションでも許されるのは、地元の人々に「鬼王丸」が愛され、身近な存在である証かもしれない。唯一、「鬼王丸」の母鬼で鬼北町日吉夢産地にいる「柚鬼媛(ゆきひめ)」が「大会に賞金があるかどうかを気にしている」のが松本さんたちの心配事とのこと。

 「柚鬼媛」は2016年、家内安全・縁結び・安産祈願を叶える「鬼王丸」の母として誕生し、一部で「ラムちゃんに似ている」とその美貌が話題になっていたはずだが…今回の取材で彼女についても意外な一面が明らかになった。

■ライバルは菅田将暉!? 人智を超えた鬼の世界に生きる愛すべき“迷”キャラ

『ゆるキャラグランプリ』投票開始から約1カ月。今月16日には中間発表が行われる。ライバルについてたずねると、「ゆるキャラ仲間ではなく芸能界にライバルがいるようです。同じ鬼として菅田将暉さんをかなり意識していると申しておりました」と、再び予想の斜め上をいくコメントが返ってきた。

 人智を超えた鬼の世界、相手もまた強敵だが、ぜひ持ち前のユニークさを発揮し健闘してほしい。最後に、『ゆるキャラグランプリ』への意気込みと今後の活動予定を聞いた。

「ご存知の通り、先日の西日本豪雨がこの辺りを襲いました。隣の宇和島市や西予市は甚大な被害を受け、当鬼北町も亡くなった方や家屋・農地に被害を受けた方がおられます。少しずつ復旧し町も元気を取り戻そうとしているので、これから“がんばってます!南予”“がんばってます!鬼北”のスローガンのもとプロモーションを行ってまいりますので応援よろしくお願いします」

 かつて全盛期には、あらゆる意味で“完成された”キャラであふれていた“ゆるキャラ界”。しかしながら「鬼王丸」のように愛すべき“迷”キャラこそ、ゆるキャラの原点なのかもしれない。ブームが落ち着き市場が縮小傾向にある今こそ、そんな地元密着のキャラクターたちにエールを送りたい。

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