【越山若水】坂井市内にあった雇用促進住宅に住んだことがある。その名からも分かるように勤労者向けの住宅で、入居できるのは2年間の期限付き。一時的な仮住まいだった▼安い家賃はありがたかった。が、鉄筋コンクリート造りの外観は薄汚れ、何より各部屋が狭かった。家電などは小さめにしたのに布団もまともに敷けなかった▼これしきのことを不満として胸にとどめ置いてきたことが情けない。西日本豪雨や北海道の地震で被災した人々の身に、なかなかなれないのが凡人の悲しさである▼避難所暮らしはきつい。学校の体育館や公民館で雑魚寝するので、満足に横になって眠れないところもある。いきおい災害関連死が起き、熊本地震では直接死の4倍にも上った▼こんな日本の避難所は国際基準からかけ離れている、と文芸評論家の斎藤美奈子さんが先日の本紙で指摘していた。そのなかで紹介していたのが耳慣れない「スフィア基準」だ▼この国際的な目安では、避難所には1人当たり最低で二畳分の面積を確保する必要がある。これが人間らしく生きるための広さというわけである▼雨露をしのげるだけでもありがたい、という人の少なくないのが日本だ。苦しい避難所暮らしにもじっと我慢する姿が、世界から称賛されているのも事実。それは確かに日本人の美徳だとしても、そんな国民に政府が甘えてどうする。

関連記事