火元とみられるA工場。内部の機械や壁の多くが燃え尽きていた=9月10日、福井県敦賀市呉羽町の東洋紡敦賀事業所第二

 福井県敦賀市呉羽町で9月6日発生、約28時間にわたり燃え続けた東洋紡敦賀事業所第二の工場火災で、同社の初期消火活動が機能しなかった状況が浮かび上がってきた。同社には初動対応のマニュアルや自衛消防組織があったが、可燃物に引火し一気に強まった火の勢いに対応できなかった。同社は「これほどまで燃え広がる想定はなかった。結果として備えが十分ではなかった」としている。

 同社によると、火元の敦賀機能材工場A工場は4日、台風21号の影響で一時停電し製造作業を中断。5日は操業を休み、6日の出火当時は7人の従業員が再開に向けて機械の試運転を行っていた。午後1時10分ごろ、従業員1人が機械から煙が上がっているのに気付き、5人が消火器による初期消火を実施。火の勢いが収まらなかったため同20分ごろ、119番通報し避難した。火を使用する工程はなかったという。

 同事業所では、火災発生時の対応手順を示す「自動火災報知機(自火報)作動時の初動対応」のマニュアルを定め、消火器を使った初期消火や避難などの訓練を勤務体系ごとに年1回実施している。

 協力会社を含む約200人態勢の自衛組織「東洋紡敦賀地区事業所自衛防災団第二事業所分団」も消防法に基づき設置しているが、火災現場を確認した工場長らの「手に負えない」との判断で従業員全員が避難。ポンプ車1台を所持していたが初期消火では使用せず、自衛組織の活動は消防隊員の現場案内にとどまった。

 敦賀美方消防組合消防本部によると、同社の自衛消防組織の規模は適正だったとし、同社総務部の近藤臣哉・地域広報課長も「対応に不備はなかったと考えている」と説明。ただ、工場内に大量にあった原料のナイロンやろうなどの油類、梱包(こんぽう)用段ボールなどに引火し一気に燃え広がる事態までは想定していなかったとも明かし、「結果的に不備を指摘されても仕方がない」と話した。

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