記者会見でポーズをとる、WBAバンタム級王者の井上尚弥=8月21日、東京都内

 世界ボクシング協会(WBA)バンタム級チャンピオン井上尚弥(大橋)が、世界最強を目指して動き出す。

 10月7日、横浜アリーナでフアンカルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を相手にWBA王座の初防衛戦を行うが、これは「最強決定トーナメント」として他団体の世界王者ら8人で争うワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)の一環でもある。

 日本のエース井上が、果たして最高の舞台でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。そして、世界のスーパースターの評価をつかめるのか。興味は尽きない。

 現在、ボクシングの主要世界団体は四つを数える。

 それぞれが世界王座を認定。さらにスーパー王者、暫定王者が存在する団体もあり「世界王者」を名乗るボクサーが1階級に6人前後いる乱立時代を迎えている。

 ファンの間から「最強は誰か」を望む声が高くなるのは当然であり、そこで計画されたのがWBSSなのだ。

 8人の強者がトーナメントで覇を競う。井上にとっては願ってもない舞台といえるだろう。

 7月、モスクワで開催された抽選会で、井上の1回戦の相手が元WBAスーパーチャンピオンのパヤノ(ドミニカ共和国)に決まった。

 簡単に勝てるボクサーではない。アマチュアで五輪に2度出場するなど豊富なキャリアを誇り、2010年にプロ転向。サウスポーから繰り出す巧妙な連打で世界をつかんだ。

 戦績は20勝(9KO)1敗。年齢は34歳でピークを過ぎた感はあるが、実績はピカ一。「今回は大きなチャンス」と張り切っており、打倒井上を誓った。

 3階級を制覇した井上の実力は文句なし。海外での評価も高く、パウンド・フォー・パウンド(体重同一時)では各種メディアで必ずベスト10にランクされている。

 減量の不安も軽減され、バンタム級でパンチ、スピードにさらに磨きがかかった。左ジャブに続く左右連打は実にパワフルで、今のところ欠点が見当たらない。戦績は16勝(14KO)無敗。安定感が光っている。

 7月下旬から恒例の熱海キャンプを張り、心身ともに好調のようだ。「パヤノとの闘いは体力勝負になると思うので、ここで鍛えたい」と語り、「優勝候補と言われるのはそう苦にならない」と頼もしい。

 プレッシャーを力に変え、リング上で存在感を披露する。横浜でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。(津江章二)

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