温熱療法の有効性について語る片山寛次教授=9月1日、福井県福井市の県国際交流会館

 現在は局所的な加温に限って保険診療の対象になっており、食道、直腸などの消化管がん、頭頸部、膵臓、肝臓などさまざまながんに対して実施されている。全国に22の認定施設があり、県内で唯一導入している福井大医学部附属病院では、年間15人がこの療法を受けている。膵臓がんの女性患者(診断時40代)が7年以上生存する例などがあるという。同病院がん診療推進センター長の片山寛次教授は「膵臓がんは、見つかったときに切除不能であるケースが約7割を占める悪性度が高いがんだが、最も温熱療法が効くがん。抗がん剤や放射線照射などの集学的治療との併用で効果を上げる」と話す。

 ■「標準治療の一つに」

 同病院は、がんが腹腔内に広がる腹膜転移に対し、開腹手術時に行う「腹腔内温熱化学療法(HIPEC=ハイペック)」と呼ばれる治療にも取り組んでいる。大腸がん、直腸がんなどの腹膜転移に対し、開腹手術でできるだけ病変を切除した後、切除できない細かいがんをHIPECで治療する。こちらも年間15人前後に実施し、12年間再発のない人がいる。

 欧州の多くの国で標準治療とされ、米国でも治療のガイドラインに掲げられているが、国内では8カ所ほどの限られた施設で行われているだけだ。片山教授は「温熱療法は代替医療と誤解している人もおり、周知はまだまだ不十分。標準治療として認識されるように努めたい」とする。古倉教授は「切除不能の進行がん、再発がんの治療効果や予後を改善することで、がんを高血圧や糖尿病と同じように、病と付き合いながら長く生きる“慢性疾患”として捉えられるようにしたい」と語った。

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