【論説】北海道で未明に最大震度7を観測する地震が発生した。厚真町では大規模な山の崩落が相次ぎ、麓の複数の住宅が土砂に巻き込まれた。懸命の救助活動が行われている。まずは人命を最優先に全力を挙げてほしい。政府を中心に被害の全容把握にも早急に取り組んでもらいたい。

 電気や水道などライフラインの復旧も急ぐ必要がある。北海道の電力の約半分を賄う苫東厚真火力発電所の停止で、道内の火力発電所がストップ、道全域の295万戸が停電した。問題はこうした事態を想定していなかったことだ。全面復旧には1週間程度掛かるとされる。停電の影響はあらゆる面に及ぶ。早期の対応を求めたい。

 厚真町の震度は当初、6強と推定されたが、震度データが入っておらず、気象庁のその後の調べで7と判明。そのこと自体も異常だろう。加えて同町の至る所で発生した山の崩落は尋常ではない。土砂に襲われた住宅にいた住民の安否が気遣われる。余震や降雨によるさらなる崩落も懸念され、二次災害には細心の注意が必要だ。

 国内での震度7の観測は、2016年4月の熊本地震以来で阪神大震災以降6回目。激震の「7」は1948年の福井地震を踏まえ創設された。大規模な土砂崩れに関して、専門家は「非常に強い地震が直下で起きれば、地質に関係なくどこでも発生する」と指摘。中山間部の住民は無論、国民一人一人も日ごろから覚悟と備えが不可欠だ。

 停電の影響は、3日前の台風21号による関西空港でもあらわになった。新千歳空港は終日、ターミナルビルを閉鎖。鉄道は北海道新幹線を含め、道内全ての路線が運転を見合わせた。患者の受け入れを一時停止する病院も続出。札幌市などでは信号が点灯しなくなり、警察官が手信号で交通する場面も。非常停止したエレベーターに閉じ込められるケースも相次いだ。災害に対する都市機能の脆弱(ぜいじゃく)さを改めて痛感させられる事態といえよう。

 地震列島の日本は、過去何度も大地震を経験してきた。だが、その教訓は生かされてきたと言えるだろうか。地震はいつ、どこで、どの程度の規模で発生するか。東海地震に関して「科学的に予知は困難」との見解が出されたように、予測は不確実であり、常に「足元で起きる」との思いを持って減災に備えることが大切だろう。

 北海道では、昨年12月に国の地震調査委員会が東部の太平洋沖でマグニチュード9級の大規模地震が「切迫している」とした。今回のような内陸地震が頻発した場合、道沖の大地震を誘発するとの指摘もある。「想定外」をあまねく想定し、「正しく恐れる」を肝に銘じたい。

 このところ頻発している地震、台風、豪雨といった災害はもはや常在と考えるべき段階に来ている。脅威に備え何をすべきか、家庭や地域でコミュニケーションを濃密にし、実行に移すことが求められる。

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