【論説】猛烈な風台風の21号が関西や福井県などを直撃し、11人が死亡、300人以上がけがをしたとされるなど、甚大な被害をもたらした。台風は6~8月に過去最多となる18個発生。今後も襲来する可能性があり、備えを怠ってはならない。

 被害は特に関西に集中。観測史上最大の瞬間風速58・1メートルを記録した関西空港は高潮で滑走路が水没し、広範囲で浸水したほか、強風で流されたタンカーが空港連絡橋に衝突し橋の一部が損壊、約5千人が取り残される事態となった。

 利用客からは「情報がなく、どうなるのか不安だった」「職員もインフラも災害に全く対応できていない」といった不満の声が上がった。災害時の避難施設ともなるべき空港なのに、自家発電設備や情報伝達手段など備えは不十分だったと言わざるを得ない。

 関空は2017年度の総旅客数は2880万人と過去最高を更新するなど、西の空の窓口としてフル回転している。復旧は長期化するともされ、県内を含め大勢の利用客に影響が出るのは必至。さらに訪日外国人客で活気づく関西にとっては、冷や水を浴びせられる懸念も拭えない。

 大阪湾で過去に記録した最高の潮位や南海トラフ巨大地震による津波への対策を練ってきたとしているが、今回、浸水を許してしまったのはなぜか。「観測史上最高の潮位」は言い訳にしか聞こえない。護岸のかさ上げなどハード対策が十分だったのか検証すべきだ。経済的損失を避けるためにも、早期の再開へ全力を挙げてもらいたい。

 県内を含め関西や四国などでは、強風で電柱が数百本倒壊したり、電線が切れたりしたため、停電は一時170万戸に及んだ。徐々に復旧しているが、熱中症が心配される中での停電は二次被害を招くことにもつながる。東北や北海道でも相次いでおり、早急な作業が求められる。

 県内では亡くなった人はなかった。台風がスピードを上げたことで、強風にさらされる時間が比較的短かったことが幸いしたのだろう。長時間の降雨も回避でき、目立った洪水被害などもなかった。ただ、樹木や電柱の倒壊、屋根が吹き飛ばされるなどの被害は相次いだ。さらに、農作物にも一部影響が出ている。

 気象庁のまとめによると、6~8月の東日本の平均気温は1946年の統計開始以降、最も高くなり、西日本は史上2位の暑さとなった。猛暑続きで熱中症搬送者は過去最多に上った。強い日射によるもので日本の南では海水面を熱し、大量の水蒸気が発生。台風を発生、発達させるエネルギーにもなっている。

 この後も猛烈な台風が発生しかねず、警戒すべきだろう。長期のスパンで見れば地球温暖化が原因の一つとみる専門家は少なくない。来年以降も異常に暑い夏が続く可能性は否定できない状況だ。目の前のリスクに備えるとともに、将来のリスク減へ温暖化対策を進めるべく、国民挙げて声を上げていく必要がある。

関連記事