【論説】2019年度予算に向けた各省庁の概算要求が締め切られた。一般会計の総額は過去最大の102兆円台後半に膨れ上がるとみられる。来年10月に予定される消費税増税に伴う景気対策などは別枠となるため、財務省の査定を経ても、当初予算で初めて100兆円の大台に乗る可能性が高い。

 借金が1千兆円を超え、先進国中最悪の財政状況下で、大盤振る舞いが許される状況にないことは、どの省庁も分かっているはずだ。歳出総額の上限を示さないなど積極財政一辺倒の安倍晋三政権に追随、文書改ざんなどの不祥事で弱体化が指摘される財務省の足元を見透かし、不要な事業まで潜り込ませていないか。歳入の3割を借金に頼る構図を忘れては困る。

 5兆2900億円余と過去最大になる防衛省予算は問題が多い。北朝鮮のミサイル対処として地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」2基の取得関連費約2350億円、F35A最新鋭ステルス戦闘機や長距離巡航ミサイルなどの経費を盛り込んでいるが、昨年の情勢認識のままの導入計画には疑問符が付く。6月の米朝首脳会談後の両国関係は不透明さも否めないが、外交を含めた戦略、装備計画の仕切り直しは欠かせない。米政権のための「導入ありき」では野放図な出費増になりかねない。

 年金や医療、介護などの社会保障費が18年度当初予算に比べ約6千億円多い32兆円超に膨らむことも懸念される。16~18年度は毎年の伸びを5千億円にまで抑制する目標を掲げたが、19年度に関しては数値目標は設定されていない。統一地方選や参院選などを控え与党の歳出圧力が高まるのは必至であり、財務省が抗しきれるかは見通せない。

 国土交通省は水害対策に18年度当初予算比33%増の約5200億円、土砂災害対策費に25%増の約950億円を求めている。西日本豪雨など毎年のように発生する豪雨被害を見据えての措置で国民の安全安心に資する対策といえる。ただ、与党の「国土の強靱(きょうじん)化」の掛け声にのって、無駄な事業が予算化される恐れもあり、精査が必要だ。

 無駄といえば、安倍政権が進める成長戦略への手厚い配分を狙った「特別枠」4・4兆円にも、看板だけを掛け替えた政策が上がってくる可能性は否定できない。真に効果が期待できる政策か、チェックは不可欠だろう。

 財務省にとって鬼門といえるのが消費増税対策。前回14年4月に税率を5%から8%に引き上げた際には消費が急速に冷え込み、景気悪化を招いたトラウマがあるからだ。自民党内から10兆円規模の対策を求める声が上がる。だが、政府は財政健全化計画を見直したばかりであり、積極財政だけでは健全化がおぼつかないことは既に明らかになっている。自民党総裁選3選を期す安倍首相は、残る3年も成長頼みの税収増路線を堅持するつもりなのか。将来世代へのつけ回しから健全化へと、かじを切る時ではないか。

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