「教員の長時間労働やブラック校則は社会全体で考えるべき問題」と話す内田良氏=8月、東京都文京区の東洋館出版社

 教員の長時間労働と学校の理不尽な校則。福井県福井市出身の内田良・名古屋大大学院准教授が近年話題となっている二つの教育問題を扱った著書を相次いで出版した。内田准教授は「ともに学校だけでなく、保護者や地域も含めて考えるべき問題」と議論の高まりを期待している。

 「教師のブラック残業」(学陽書房)は、教員の特殊な給与制度に焦点を当てた。公立学校の教員は、学校行事や夏休みなどで勤務時間が一定にならないため、あらかじめ本給の4%が教職調整額として上乗せされ、残業代は支払われない。1971年に制定された教職員給与特別措置法(給特法)に基づく仕組みが、長時間労働の温床となっているとの批判は根強い。

 内田准教授は「残業代ゼロ」の規定が職場の時間管理を不要にし、国や自治体、管理職から残業を抑える動機付けを奪ったと指摘。高収入の一部専門職を労働時間規制や残業代支払いの対象から外す高度プロフェッショナル制度が「定額働かせ放題」と批判を浴びたが、内田准教授は「給特法の下での教員の働き方は高プロの先行事例」と言う。

 「4%」は、66年度に国が行った教員勤務状況調査で、1週間の時間外労働の合計が小中学校で平均1時間48分だったことを根拠に算出された。ただ、16年度の調査で1週間の時間外労働は小学校で18時間40分、中学校で24時間33分に増えており、内田准教授は「調整額は今日の時間外労働の対価として全く不十分」と強調する。

 給特法によって教員に支払われていない残業代は年間9千億円以上とされる。巨額の財源を確保する必要があり、法律改正は容易ではない。著書の中で給特法廃止を訴える内田准教授も「法律制定から約50年間に蓄積した問題は簡単には解消できず、10年以上かけて緩やかに解決していくしかない」とした上で「教員は教育者である前に労働者。教員の仕事を増やす際には教員の善意に頼るのでなく、コスト意識を持つべきだ。教員の仕事に優先順位を付け、徐々に外部に委ねていくことも必要で、社会全体の意識改革が求められる」と話す。

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