大野暮らしを楽しむ野上さん家族=8月22日、福井県大野市中島の麻那姫湖青少年旅行村

 「緑豊かなキャンプ場にひかれて移住しました」。東京都で暮らしていた野上裕高さん(53)一家3人が今春、福井県大野市に住まいを移した。旅行をきっかけに大野の自然のとりこになり、20年近く通い詰めてきた。「壮大な自然環境の中で生かされている感覚。肩肘張らずに過ごせる」と大満足しているようだ。

 愛知県出身の裕高さんと神奈川県出身の妻綾香さん(39)、長男(5)家族。大野市街地から約25キロ離れた山あいにある麻那姫湖青少年旅行村(同市中島)の大ファンで「息子が小学生になる前に」と3月末に移り住んだ。

 川や山など自然が大好きな裕高さんは30代の時、友人と旅行村に訪れた。都会では見られない植物や淡水魚、山菜にも心を動かされ「いつか大野に暮らしたいと思っていた」と話す。

 綾香さんは2007年秋、裕高さんに連れられ“大野デビュー”した。真夜中に到着した山奥深い旅行村。辺りは真っ暗で「少し不安になった」が、朝日が昇ると「どこまでも緑が続いていた。一帯に霧が立ちこめ感動した」。1泊2日の予定を変更し1週間滞在した。それ以降、2人は休みの度に癒やしを求めて旅行村に通った。

 旅の途中、まちなかで声を掛けてくれた男児との出会いも大きかった。自転車に乗った少年の案内で、おいしい湧き水が飲める場所や武家屋敷を巡り「本当に丁寧に、気持ちよく案内してくれた。こんなふうに子どもが育つなら大野に暮らしたいと思った」とほほ笑む。城下町のまち並みや清らかな水資源も移住の決め手になった。

 旅行村では川遊びや虫取りを楽しみ、満天の星空も堪能する。大自然に身を置き、2人は「都会は欲しいものやテレビで流れたものがすぐ手に入るけれど、どこか窮屈だった」と振り返る。

 職にも就いた。「毎日が緩やか。人は温かいし、良い思いしかしていない。これから、もっともっと大野暮らしを楽しみたい」と声を弾ませた。

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